ヴァージンアトランティック航空が成田／ロンドン線を撤退、"集中と選択”で

ヴァージンアトランティック航空（VS)は、2014年9月3日、成田／ロンドン線を撤退することを発表した。これは、路線ネットワーク強化計画の中で集中と選択を行うもの。成田／ロンドン線の最終運航日は2015年2月1日としている。

ヴァージンアトランティック航空の路線ネットワーク変更計画では、大西洋横断路線に新たに毎日運航便5便が追加されるなど、夏期の便数を2014年比で2015年は500便超増便される予定。一方、「事業機会を最大限生かす」として成田／ロンドン線の他にムンバイ線も運休。夏季限定のバンクーバー便は来夏、冬期限定のケープタウン便も来年以降は廃止を決めた（強化路線と廃止路線の詳細は下段）。

▼成田／ロンドン線の撤退の背景

ヴァージンアトランティック航空は、2018年までに過去最高水準の利益を持続的に達成する計画。現行の2ヵ年経営改善計画は順調に推移し、2014年末までに黒字化を達成する予定だという。こうしたことを受けて、長期的な成功を収めるための事業へ重点を移す方針で、その具体策として、路線ネットワークを強化とともに、顧客満足度を向上するた2018年末までに3億英ポンドを投資する。

同社は2013年9月にデルタ航空（DL）と米国運輸省から大西洋路線での独占禁止法適用除外（ATI）の承認されてから、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港（JFK)とロンドンのヒースロー国際空港（LHR)を結ぶ路線を強化。デルタ航空との共同事業を進めてきた。この恩恵を最大化することを目指すことの一環で、大西洋横断路線に追加投資機会を見出したという。基幹となる英国／米国路線の市場での存在感を大きくする一方、その他の世界都市への運航継続は戦略的な観点で選択された。

• デルタとヴァージンアトランティック、ニューヨーク／ロンドン線は来年3月運航開始、1日7便で（2013年9月26日）
• デルタとヴァージンアトランティック、大西洋路線の共同事業でATI承認を獲得（2013年9月26日）

ヴァージン アトランティック航空の最高経営責任者（CEO）であるクレイグ・クリーガー氏は今回の路線変更計画について「大西洋横断路線は、当社の路線ネットワークの中では常に中核を占めており、採算面でも最も成功している路線です。本日発表した路線ネットワーク変更によって、当社は強みを生かしつつ、当社の路線ネットワークを英国と米国の間の路線および世界の中で当社のお客様にとって重要度の高い都市への路線に集中させることができるようになります。」と述べている。

強化される路線、撤退・廃止の路線は以下のとおり。

【強化される英国／米国路線】　＊ロンドンはすべてロンドン・ヒースロー空港（LHR)

• ロンドン／デトロイト線：毎日運航便で新規就航
• ロンドン／ニューヨーク（JFK)線：毎日運航便を1便増便
• ロンドン／ロサンゼルス線：毎日運航便を1便増便
• ロンドン／アトランタ線：夏期限定で毎日運航便を1便増便
• ロンドン／サンフランシスコ線：夏期限定で1便増便（週5日運航）
• ロンドン／マイアミ線：冬期限定で毎日運航便を1便増便

【撤退または廃止する路線】

• ロンドン／成田線：ロンドン発の最終運航日は2015年1月31日、成田発の最終運航日は2015年2月1日予定
• ロンドン／ムンバイ線：ロンドン発の最終運航日は2015年1月31日、ムンバイ発の最終運航日は2015年2月1日予定
• ロンドン／バンクーバー線（夏期限定便）：最終運航は2014年10月11日、来夏以降に廃止
• ロンドン／ケープタウン線（冬期限定便）：2014年／2015年の冬は予定通り運行。来年以降は廃止予定。ロンドン発の最終運航日は2015年4月26日、ケープタウン発の最終運航日は2015年4月27日予定

なお、ヴァージンアトランティック航空は羽田／ロンドン線でANA運航便によるコードシェアをおこなっている。コードシェア便の今後については、今回の発表に含まれていない。

（トラベルボイス編集部：山岡薫）