ドバイの観光街歩き、新たに登場したトラムなど4つの交通システムを試してみた

豪華なホテルや巨大ショッピングモールなどに注目が集まるドバイ。夏は気温が50℃にもなるため、あまり動き回らず、これらの施設の中やビーチで過ごす人がほとんどだろう。しかし、11~3月は比較的涼しく、街歩きにも適した気候だ。市内には古くから残るスークなども点在し、見所は多い。市内にはメトロを中心に便利で快適な交通手段も整備されており、昨年11月には新たにトラムも一部開通した。さっそくこれらを利用して、ドバイ街歩きを楽しんでみた。  (取材協力:カタール航空)


▼47駅で市内横断するメトロ

市内の移動に便利な主要交通網

高層ビルの合い間を走り抜けるメトロ

「ドバイメトロ」はドバイ道路交通局が運行する市内鉄道。グリーンラインとレッドラインの2路線があり、古くからのスークなどが残る旧市街と、世界一高いビル「バージュカリファ」などが屹立するダウンタウン、さらに新たに開発中のドバイマリーナ方面など、全47駅で、市内を横断するようにつないでいる。これを使って巨大ショッピングモールの「ドバイモール」や屋内スキー場があることでも知られる「モールオブ・ジ・エミレーツ」などに訪れてみた。


メトロのユニオン駅

メトロの各駅は繭を思わせるような流線型の近未来的なデザイン。内部はエアコンが効き、清潔感がただよう。表示もわかりやすく、切符(Nol Card)の販売機も英語が理解できれば操作は簡単だ。

運賃はゾーン別になっており、2ディルハム(約60円)からと安い。14ディルハム(約500円)のNol Cardを買えば、メトロ、トラム、バスなど1日乗り放題となるので、何か所か移動する場合はこれが便利だ。



清潔感あふれる駅の中

列車の運行は頻繁で、時間帯にもよるが、あまり待たされることはない。すべての乗車口にホームドアがある安全仕様。ただし、スタンダードクラスのほかに運賃が高いゴールドグラス、そして女性と子供専用クラスがあり、車両は分けられているので、注意が必要。またドバイの休日となる金曜日は、午後からのみの運行となる。



世界最大級のドバイモールにもアクセス可能

スタンダードクラスの車内は時間帯により込み合うこともあるが、おおむね快適。一部は地下を走るが、ダウンタウンなどほとんどの場所では地上の高架を運行するため、車窓からはドバイ名物ともいえる様々な高層ビルをゆっくり見物することもでき楽しい。ショッピングモールなどの主要施設には、駅からエアコン完備の屋内連絡通路がつながっている。これなら夏でも暑さ知らずのままアクセスできそうだ。ただし、ドバイモールへの連絡通路は非常に長く、駅から延々15分は歩く。急ぐ時や荷物が多い場合はタクシーを使う方が無難かもしれない。

ちなみにRTAでは路線バスも運行しており、メトロと同じ料金システムで、市民の重要な足となっている。しかし79路線もあるネットワークは複雑で、土地勘がないと乗りこなすのは難しい。旅行者には難易度の高い乗り物といえるだろう。




▼2014年5月に一部開通したトラム

マリーナ地区のアクセスが便利に

11駅が開通したばかりのトラム

昨年11月に開通したトラム(路面電車)。これもRTAが運行しており、現在、マリーナ地区に11駅があり、ドバイマリーナと、ジュメイラレイク・タワーズの2駅でメトロとも接続が可能だ。



窓が大きく明るいトラムの車両

料金システムはメトロと共通のゾーン制で、スタンダードクラス、ゴールドクラスなどのクラス分けも同じ。駅はガラス張りで、内部はやはりエアコンが効いており涼しい。車両はスタイリッシュなデザインで、高層ビルが立ち並ぶマリーナ地区を走る様子は、まるで未来の乗り物といった雰囲気だ。

トラムは、人口島パーム・ジュメイラへのモノレールとも接続できるようになっているが、今のところまだアクセス通路などは完成しておらず、こちらの乗換はあまりスムースとは言えない。


▼人工島パーム・ジュメイラへ渡るパームモノレール

アラビア湾の景観と高級リゾートを一望

中東初のモノレール

高級リゾートホテルやコンドミニアムが並ぶ人工島パーム・ジュメイラへ渡るモノレール。美しいアラビア湾の景観が眺められるとあり、島に滞在していない旅行者にも人気の乗り物だ。

実際、窓からの風景は見事で、観光アトラクションとして往復するだけでも楽しめる。料金は往復25ディルハム(約900円)。パーム・ジュメイラ側の駅アトランティス・アドベンチャーを降りるとすぐ、様々なプールやウォータースライダーが楽しめるアクアパークがある。また島内めぐりの観光バスも運行しており、気軽なツアーも体験できる。

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人工島の駅は、リゾートホテル「アトランティス」の横

▼北側ディラ地区と南側バール・ドバイ地区を結ぶ渡し船

昔ながらのアラビアが感じられる渡し船

昔ながらの渡し船アブラ

ドバイの旧市街にはドバイ・クリークという入り江が川のように流れており、この北側ディラ地区と、南側バール・ドバイ地区を結ぶ渡し船「アブラ」が行き来している。

ディラ地区にはゴールドスークやスパイススーク、またバール・ドバイ地区には衣料や雑貨を扱うテキスタイルスークなど、古い市場が点在しており、これらを巡るのにも便利だ。利用方法はいたって簡単。両岸に2か所ある乗り場に行き、空いている船に座って待つだけ。20人ほど乗りこんだら順次出発する。乗っている時間は15分程度。昔ながらの木造船で、市内の他の乗り物とは全く趣が異なり面白い。古きドバイを感じながら、ちょっとしたクルーズ気分が楽しめるのも魅力だ。料金は1ディルハム(約35円)と格安だ。

アラビア情緒が漂うテキスタイルスーク

▼まとめ:涼しい季節の街歩きにおすすめ

ドバイの1日、様々な乗り物にのって街歩きを楽しんだ。どの乗り物も想像以上に快適で使い勝手がよかった。また必然的に路線図や地図で自分の位置を確認しながら動くので、街の全容が把握しやすいというメリットもあった。ドバイではタクシーも比較的安く、便利に使えるが、公共交通機関を使うと、暮らす人の目線に近くなり、街がより身近に感じられるような気もする。涼しい季節の自由な旅には、ぜひお勧めしたい。

  • 取材・記事:吉沢博子

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