2023年にフランスで開催されるラグビーワールドカップを控えて、日本対イングランド戦が行われるニース、準々決勝の舞台となるマルセイユのあるプロヴァンス・コート・ダジュール地方が、日本人観光客の誘致に向けて会見を行った。
ラグビーワールドカップ2023では、来年9月から10月にかけてフランス各地で試合が行われる。プールDに入る日本は9月10日にトゥールーズでアメリカ地区の最終予選突破国、9月17日にニースでイングランド、9月28日にトゥールーズでサモア、10月8日にナントでアルゼンチンと対戦。予選リーグを突破すれば、マルセイユで準々決勝を戦うことになる。
プロヴァンス・コート・ダジュール地方観光局マーケティングディレクターのヤニック・ル・マガデュール氏は、「ラグビーワールドカップは観光誘致の大きな機会。2019年の日本大会では日本のラグビー熱が高まった。来年の大会には多くの日本人が訪れてくれるのではないか。日本が予選を突破し、準々決勝でマルセイユに戻って来ることを期待している」と話した。
この地方は、フランスにとってパリに次ぐ二番目に大きなインバウンド市場。2019年の海外旅行者は約700万泊。そのうち、日本人旅行者は21万1000泊だった。今年については、コロナ禍を経て、欧州からのバカンス需要が高まっており、夏の予約は好調に推移しているという。日本については、「今夏以降の回復になるのではないか」との見通しを示した。
フランスでは、ラグビーワールドカップに続き、2024年にはパリ五輪を控える。ニースはサッカーの会場となり、マルセイユはヨットの会場になることから、スポーツのビッグイベントを契機とした観光客誘致に期待がかかる。
会見には、元ラグビー日本代表で東芝ブレイブルーパス東京の大野均さんもゲストして登壇。大野さんは6月初旬に日本代表の試合が行わる都市やエリアを視察してきた。日本対イングランド戦が行われるニースの試合会場「スタッド・デ・ニース」について、「2015年のイギリス大会で南アフリカに勝利したブライトンのスタジアムに雰囲気が似ている」とその印象を語ったうえで、「イングランドは、前日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズが率いていることもあるので、ぜひ勝って欲しい」とエールを送った。
また、プロヴァンス・コート・ダジュール地方について、「個人的には、フランスは曇りの日が多いという印象だったが、この地方は晴れの日が多かった。特にブイヤベースをはじめとする食、レストランのホスピタリティに感銘を受けた」と振り返った。
マガデュール氏は、この地方の特徴として多様性を挙げ、2021年に新たに登録された「リヴィエラの冬季保養都市ニース」を含めた7ヶ所のユネスコ世界遺産をはじめ、個性的な村々、自然、文化、歴史、芸術、スポーツ、食などさまざまな観光コンテンツが楽しめることから、「(ラグビーワールドカップでは)この地方を拠点として、トゥールーズやナントを訪れて欲しい」と付け加えた。