2024年3月26、27日の2日間、フランス最大のトラベルマート「ランデヴー・アン・フランス2024」が南フランスオクシタニー地方の中心都市トゥールーズで開かれた。フランス観光開発機構のカロリーヌ・ルブシェ総裁はプレスカンファレンスで2023年の観光収益は対2019年12%増となる635億ユーロ(10兆3505億円)に達したと発表。米国を中心に観光市場は復調傾向にあると語った。
また、2019年に火災に見舞われたパリのノートルダム大聖堂は12月から観光が再開することも発表された。
米国市場が好調、2024年は国際イベントに期待
ルブシェ総裁によると、2023年はインフレなどによる為替の影響はあるものの、ラグビーワールドカップ2023の効果も含め、コロナ禍前を上回る観光収益を得た。長距離では、まだアジアは弱含みではあるものの、米国を中心とした北米地域が市場をけん引したという。
2024年はパリ・オリンピック・パラリンピック2024やイル・ド・フランス地方とノルマンディーで開催される印象派誕生150周年に関する印象派フェスティバル、ノルマンディー上陸作戦(D-Day)80周年、国際フランス語圏サミットなどの国際的なイベントを通して、約1億人の外国人観光客の来訪を見込む。
また、2030年までに持続可能な観光地としてのベンチマークとなることを目指し、国内約1200の官民観光関係者や世界29カ国と提携し、ロードマップを策定。観光トレンドの予測に基づくプロモーションやサービスの向上、ホテルの格付け、品質保証ラベルの制定などに取り組んでいく考えを示した。
環境に配慮した観光の一環として、とくに近隣欧州市場を対象としたサイクル・ツーリズムをプロモーションしていく方針。コルシカ島1周、シャンパーニュのブドウ畑をゆくルートなど、フランス各地方がそれぞれ地域の特色を生かしたサイクリングルートを紹介した。
ノートルダム大聖堂の再開は12月、事前予約システム導入へ
記者会見では2019年に火災に見舞われたパリのノートルダム大聖堂の観光再開について説明した。ノートルダム大聖堂事務局長のオリヴィエ・ジョス氏によると、12月初旬にマクロン大統領臨席のもと式典が開催される予定。その後、宗教行事などを経て一般観光客の受け入れを開始。個人旅行者の入場は12月10日午後から開始とするが、行事などで入場時間の制限がある見込み。通常の開門時間での入場は12月16日から可能となる。巡礼団体は2025年3月から、見学の団体は2025年6月以降に入場可能となる予定だ。
再開後は、個人、団体ともに事前予約システムが導入される。内部での解説を行う団体は、有資格ガイドの随行や音声レシーバー装着などのルールが検討されているという。大聖堂が火災に見舞われる前の2018年は年間約1000万人の観光客が訪れており、2025年は約1500万人の来訪を見込む。
世界各地のバイヤー813社が参加、日本の旅行会社の表彰も
ランデヴー・アン・フランス2024年にはフランス国内の観光局やホテル、オペレーター、アトラクションなど635団体・会社がセラーとして出展、世界各地のバイヤー813社が参加。オクシタニー地方をはじめフランス各地域観光局などの主催による53のプレツアーが行われた。商談数は、約2万6000件。
日本からは旅行会社らを中心に47人が参加。2日間にわたる商談後、翌28日には日本の旅行会社のみを対象としたトゥールーズ市内観光と同市サプライヤーとの特別商談会も開催され、日本側からは約20人が参加した。
商談会に先立つ前夜祭では、2023年にアトゥーフランスが実施した旅行業界向けe-ラーニング「フランスコネッサー」の合格者が表彰された。今回の商談会に参加している合格者上位10名を表彰したもので、スペインやカナダ、ドイツなど世界各国の旅行会社とともに、日本からはリョービツアーズのビジネスクリエイトカンパニー ツアークリエイトセンターの馬場絵理子氏、エミトラベルパリの多田綾菜氏が合格証を受け取った。
フレデリック・マゼンク在日代表によると、日本では現在40名超の合格者がおり「今回表彰を受けたトップ10に日本人2人がいるのは素晴らしい。今後はフランスコネッサーの合格証を現場で生かせるよう検討していきたい。さらに中級、上級などの造成も考えている」と語った。
※ユーロ円換算は1ユーロ163円でトラベルボイス編集部が算出
特派記者:西尾知子
取材協力:フランス観光開発機構