茨城県大洗町の観光協会が挑む「タビナカOTA」、その狙いと、伴走するNECのDX支援を聞いた(PR)

茨城県の大洗観光協会は2024年3月21日、地域事業者がタビナカの観光コンテンツを販売するウェブサイトをオープンした。既存の観光事業者はもちろん、主に地域住民向けのサービスを提供してきた飲食店やフラワーショップなどの事業者も参加し、地域全体で観光客向けの販売に乗り出す。いわば、大洗の町をまるごと観光素材として掲載するOTAのようなサイトを構築しようとしている。

茨城県きっての観光地が、なぜ新たな挑戦に乗り出したのか。同協会の会長と専務理事に、「大洗OTA構想」の背景から狙い、NECとの取り組みまで聞いてきた。

リゾート地の認知を取り戻す

太平洋に面する「大洗サンビーチ」や、大洗漁港から水揚げされる新鮮な海産物、岩礁の鳥居で知られる「大洗磯前神社」など、観光素材に恵まれた大洗町。ひたち海浜公園や偕楽園など近隣エリアの観光スポットも多彩で、夏は海水浴、冬はアンコウ鍋など季節ごとに魅力のある茨城県随一の観光地だ。首都圏からのアクセスも良く、2010年頃には個人の家族客やバスツアーを中心に、年間560万人前後が訪れていた。

しかし、2011年の東日本大震災で観光客は激減。2012年放送の大洗を舞台にしたアニメ「ガールズ&パンツァー」の聖地巡礼をする新しい客層が回復を後押しするも、海水浴離れなど観光トレンドの変化を受けてピーク時まで戻り切れず、年間460万人規模の推移が続いた。しかも、日帰りの観光客が圧倒的に多い。

そしてコロナ禍で再び半減。大洗サンビーチでの「砂浜の図書館」や「夜のイルミネーション」といった、大洗の魅力を深堀りしていく取り組みなどで年間400万人まで回復したものの、地域が稼ぎ、自走していくためにはさらなる手立てが必要だ。

客層や観光スタイルが変化していく中で、大洗観光協会が描いたのが、「大洗OTA構想」だった。同協会会長の大里明氏は、「大洗の観光は、明治時代に海水浴の保養地としてスタートし、そのポテンシャルがある。もう一度、リゾートとしての認知を上げて、宿泊して楽しめる観光地であることを打ち出したい」と、目指す姿を説明する。

この構想には、2つの課題解決を図る狙いもあった。1つは、大洗町のリゾート地としてのブランディング。もう1つは、滞在中に楽しめる体験コンテンツを拡充し、観光客に届けることだ。

大里氏は「以前の公式サイトでは、大洗がそもそもどういう場所なのか、伝わりにくかった。地域の観光コンテンツに関しては公式サイトでの販売はしておらず、観光客が自ら各事業者の地域での飲食やアクティビティを探して予約をしていた。この状況を改善し、公式サイトから大洗で滞在中の観光を探し、予約がしやすいシステムの構築を目指す」という。

大洗観光協会会長の大里明氏

「大洗OTA構想」の仕組みと成功のカギ握る町の事業者のフォロー体制

「大洗OTA構想」は、町の事業者が観光コンテンツを開発して直販できる、大洗観光のオンライン販売事業だ。大洗観光協会がプラットフォームを構築して参加する事業者を募り、観光商品を掲載するウェブサイトを開設する。この観光商品の直販サイトや宿泊予約の入り口を観光協会の公式サイト上に設け、国内外の観光客が大洗での旅行計画や予約を観光協会の公式サイトからの導線で完結できるようにする。

これに向け、大洗観光協会は地域限定旅行業を登録した。ただし、同観光協会の役割はプラットフォーム全体の管理と運営。各事業者が共通の販売システムを導入してプラットフォームに商品を掲載し、それぞれが販売主体として観光客と契約をする。

そうすることで、各事業者は自分のペースで商品設定や在庫管理ができ、最新情報の即時反映が可能になる。観光協会も少人数で運営しながら、サイト全体のブランディングや集客に注力できる。大洗観光協会は四方を海や湖、川に囲まれた水の豊かなリゾート地として訴求すべく、公式サイトをリニューアルしたところだ。

大洗観光協会は、観光コンテンツを販売する事業者として、観光事業者はもちろん、地域住民向けの商売に主軸を置く事業者にも声をかけた。観光向けに多様な商品が提供されることで、観光客の増加や客層の広がりが期待できる。「人口減少の中、地域観光と各事業者の持続可能性を考えれば、地域全体で観光を販売することが重要になる」(大里氏)と考えるからだ。

そのため、大洗OTA構想は地域事業者を巻き込んでいくことがカギになる。大洗観光協会専務理事の鬼澤保之氏によると、事業者の募集を本格化したのが2023年11月。積極的に事業者向け説明会や個別事業者への訪問を実施し、約4カ月間で飲食店や農家、釣具店など30の地域事業者が趣旨に賛同し、観光商品の販売に向けた準備を始めた。今後も事業者の参加を促し、まずは地域事業者の数を50まで広げたい考えだ。

大洗観光協会専務理事の鬼澤保之氏

大洗観光協会は、このプラットフォームを構築するシステムに、NECソリューションイノベータの「NECガイド予約支援サービス」を選んだ。決め手は「構想の実現に合致するシステム」(大里氏)であること。オンライン販売の経験やデジタルスキルが様々な事業者が参加するプラットフォームでは、誰もが使いやすいシステムであることが重要だからだ。

また、鬼澤氏は「事業者にOTA構想を説明する際も、NECの担当者が同行して各事業者が理解しやすいようにフォローしてもらえる安心感もあった」とも話す。

大洗OTA構想の事業イメージ。大洗観光協会は全体を取りまとめ、NECは事業者への「NECガイド予約支援サービス」の提供とサポートをする

NECソリューションイノベータのビジネスラボラトリ主任 野口亮氏は「当社はこれまでも、日本の各地でDMOや観光協会、地域事業者の販売サイトを構築し、地域事業者のデジタル化を支援してきた。地域との共創活動によって得た共感力をいかし、導入事業者の経験やデジタルスキルに合わせて準備が進められるように支援している」と話す。単にシステムを導入するだけではなく、NECガイド予約支援サービスを効果的に使えるようなサポートを心掛けている。

今回、NECは大洗OTA構想に沿ったカスタマイズとして、販売サイトのトップ画面に日にちから商品を探せる検索窓をつけた。観光客が滞在中にできる体験を検索しやすくするのが目的だ。野口氏は「弊社は社員の大半がエンジニア経験者であるのが特長。だからこそ、お客様の声を聴き、柔軟な対応ができる」という。

販売サイトのトップ画面に日付検索を追加。旅行計画時や現地滞在中での体験検索をより便利に

地域事業者が観光商品を販売する意味

ショッピングモール「大洗シーサイドステーション」に2018年にオープンした「大洗海風ヨガスタジオ」は、「大洗OTA構想」に参加した地域事業者だ。車で1時間圏内の住民が通う地域密着型のヨガスタジオだが、本事業では観光客の宿泊翌朝の過ごし方を想定し、日曜日の午前中に手ぶらでヨガ体験ができる商品を設定した。

参加を決めた理由について、代表の小林綾子氏は「大洗は観光地。ここにスタジオを開設したのは、地域住民だけではなく、観光客の参加もあればいいなという思いがあった」と明かす。観光×ヨガの可能性を模索し、大洗観光協会を訪問するなど、コンタクトをとっていたという。

コロナ禍もあって、観光客向けのヨガレッスンは実現できていなかったが、昨年はビーチなどでの屋外ワークショップを開催。主な参加者は地域住民だが、県外から大洗に通うサーファーやキャンプ場の利用客などの参加もあり、「ヨガを介して、大洗の魅力をより感じられる体験になったのではないか」と話す。「地域住民が観光客に大洗の良さを伝えたり、その逆を観光客が地域住民に話すようなコミュニケーションも生まれる。観光客と住民の接点が増えることは、素晴らしいことだと思う」。

実はもう一つ、観光客にも門戸を広げたい理由がある。それは、観光地の商店が共通する悩みに起因するもの。週末は、スタジオの周辺道路は交通量が増え、地域住民の来訪が少なくなる。「ヨガレッスンも平日よりは空いている」と小林氏。観光客の繁閑差は地域住民の行動も左右し、店舗の営業にも影響する。地域事業者が地元客と観光客向けの商売をできる環境を整えることは、持続的な観光振興の重要な施策になるだろう。

大洗海風ヨガスタジオが設定した「朝!手ぶらでヨガレッスン」。チェックアウト後に参加できるよう10時30分から設定

茨城県内で稼ぐ地域を創出するモデル的存在に

本事業は、茨城県が2023年度に実施した「インバウンドコンテンツ造成支援事業【環境整備型】」の採択事業「開運大洗!台湾インバウンド客が、また来たくなる“大洗の月”エリア形成ブランディングと大洗OTA構築」の一環でもある。県内地域の稼ぐ力を向上させるため、国内およびインバウンド向けのコンテンツ造成と高付加価値化の支援を目的におこなわれたものだ。

茨城県営業戦略部 観光戦略課 海老澤氏によると、茨城県では観光消費額の拡大に向け、新たな価値の創出による持続可能な「稼げる観光地域づくり」を推進。大洗観光協会の事業には「事業者や行政など地域が一体となってブランディングからコンテンツ開発、プロモーションに取り組む、稼げる観光地域づくりのモデルとして定着し、県の観光のフラッグシップエリアとして成長することを期待している」(海老澤氏)という。

大里氏は、「大洗の観光のポジションを明確にし、北関東の海沿いのエリアで真っ先に選んでもらえる観光地にしたい」と力を込める。「大洗OTA構想」は、その実現のためのシステムと位置付けている。

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商品:NECガイド予約支援サービス

問い合わせ先

記事:トラベルボイス企画部

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