消費税増税の施行日をまたぐ取引の税率は? -旅行業と消費税(3)

旅行・観光ビジネスで役立つ税知識<第5回>

こんにちは。税理士の菊池美奈です。

2014年4月1日から消費税が8%になりますが、4月1日前後の取引について、5%なのか8%なのか迷うことがあると思います。消費税は、施行日であるH26年4月1日以後の資産の譲渡等(物品の販売やサービスの提供)は新税率の8%になります。施行日の前日である3月31日までに契約を締結していても、実際の取引が4月1日以降だと新税率になります。

新税率になるか旧税率になるか判定する基本は、サービスの提供や販売が、3月なのか4月なのかになります。物の引き渡しを要する契約では、その物の全部を完成して引き渡した時、物の引き渡しがない契約では、そのサービスの全部を完了した日で判定します。

以下に具体例をいくつか挙げます。

  1.  H25年10月1日~H26年3月31日までに予約を受けて料金を受領した宿泊プランで4月以降に出発する場合・・宿泊サービスが4月以降なので8%
  2. H25年9月30日以前に予約を受けていたプランで4月以降の旅行の場合・・・・・5%(経過措置)
  3. 3月31日にホテルにチェックインし、4月1日にチェックアウトした場合・・・・・一般的にはチェックインの日が宿泊日と認識されるので5%
  4.  H25年10月1日~H26年3月31日までに予約して、3月31日から1週間旅館等に滞在した場合・・サービスの全部が完了した時が、4月以降なので8%
  5. 電車・バス・航空券など前売券で、3月31日までに代金を領収していて、乗車等が4月以降の場合・・・・・5%(経過措置)

上記の例は、一般的なケースをご紹介しています。契約方法や収益計上の方法は各会社により様々あり、また、経過措置も設けられていますので、4月以降も旧税率になる場合があります。

繰り返しになりますが、上記の例はあくまで一般的な一例なので、会社の経理方法によって、正しい消費税を計上し、不明点は税務署でご確認ください。


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