近畿日本ツーリスト、小川社長が135名の新入社員に訓示、新規プロジェクト提案を

近畿日本ツ-リスト株式会社(KNT)は、2014年4月1日、都内で平成26年度の入社式を行った。会場では代表取締役の小川亘氏が訓示を行った。訓示の全文は以下のとおり。

小川氏は、135人の新入社員を前に時代のスピード感を感じ対応しつつ、変化することの重要性を語った。また、観光産業の未来に向けて、新しい知恵を絞り、プロジェクトなどを提案することを呼び掛けた。


【KNT代表取締役の小川亘氏の訓示】

新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。本日、135名の新しい仲間を迎えられたことを本当に嬉しく思います。役員、そして全社員を代表して、心より皆さんの入社を歓迎いたします。

昨年以降、日本の経済は回復傾向にあります。しかし、旅行業を見てみると、我々を取り巻く環境はすべてがバラ色という訳ではありません。インターネット専業者をはじめとする異業種からの旅行業参入や航空会社や宿泊施設等サプライヤーにおける旅行会社との関係性の変化等、乗り越えていかなければならないことがたくさんあります。取り巻く環境を語るとき、「今は激動の時代だ」「この時代は転換期にある」などの言葉がよく使われます。実はこれらの言葉は、いつの時代にも使われていた言葉で、常に変化は起こっており、それに対してどれだけ柔軟に、積極的に対応できるかがいつの時代にも問われているのでしょう。新入社員の皆さんも、これから仕事やプライベート問わず、いろいろな変化に出会うことでしょう。ぜひ、変化に翻弄されることなく、自分の意志でその変化を受け止め、進む道を選択してください。

変化とともに大事なのがスピードです。かつてダーウィンが言いました。「変化にもっとも対応できる者が生き残る」。


私はこの言葉を否定します。今の時代に、100年も1000年もかけて進化していたのでは生き残れません。スピードをもって環境に対応していかないと絶滅してしまいます。私は、皆さんにこの言葉を贈ります。「スピードをもって、環境に対応していかないと生き残れない」。当社も組織の再編という新たなスタートを契機に、強い部分はより強く、チャレンジする部分はより果敢に、皆さんの力も推進力にしながら進んでいきます。

当社グループは、オリンピックやFIFAワールドカップなど、スポーツビジネスの領域に強みを持ち、成果をあげてきました。今年は2月に「冬季オリンピック」がソチで既に開催され、6月から7月には「FIFAワールドカップ」がブラジルで開催されます。また、6年後の2020東京オリンピック、パラリンピックに向けて、プレ大会やスポーツイベント以外にも様々なイベントが日本で行われることが予想されます。自国開催のオリンピックを経験できることは本当に希有なことです。6年後の皆さんがそれぞれの現場でスタッフとして頑張っている、お客さまと感動をともに分かち合っている、そんな姿が想像できます。これは千載一遇のチャンスです。社員の一人として、旅行業界の一人として、またとないこのような機会を経験できることを誇りに思い、活躍して頂くことを期待します。


スポーツ以外にも、訪日旅行の強化、旅を通じた復興支援、WEBを活用した商品企画など、当社が取り組むべきことは無限に広がっています。特に訪日旅行に関しては今後の需要が大いに期待できます。配属された職場で訪日旅行を取り扱っていないから自分は関係無い、ということはありません。柔軟な発想で若いうちから意識的な取り組みをしてください。

旅行マーケットを大きく捉えると、日本国内における旅行消費額は25兆円を超えています。内閣府が毎年統計を取っている「今後、生活のどのような面に力を入れたいか」のアンケートでは「レジャー・余暇生活」という回答が、30年近く連続して第一位となっています。みなさんの想像以上に旅行マーケットは大きいのです。その大きな可能性を持ったマーケットの中で、当社がどう成長していくかは、新入社員の皆さんも含め、社員ひとり一人の知恵と行動にかかっているのです。

当社では、大きなマーケットに対して懸命に知恵を絞り行動するチャンスとその結果への評価は、全社員平等に用意されています。仕事にどう望むかは、ベテラン社員でも新入社員であっても違いはありません。ぜひ「こんな仕事がしたい」、「こういうアイデアを実現したい」という気持ちを積極的に表現してください。ひとり一人が自分のプロジェクトを立ち上げる、という情熱を持って仕事にあたってください。遠慮せず、恐れず、どんどん仕事にのめり込んでください。

みなさんは今日、仕事への楽しみと同時に不安も抱きながらここに座っていることでしょう。仕事の成功はそう簡単に手に入るものではありません。これからは、上手くいかないこと、悔しく、辛いことも少なからずあるでしょう。地道な努力が実らないこともあります。しかし、それらは、社会人として組織で働く人誰もが直面する壁なのです。今、皆さんは業務知識も少なく、スキルもまだまだ乏しい新入社員です。不安を覚えることは当然です。しかし、今日からは、ぜひ、漠然とした不安を憂慮するのではなく、「今何をすべきか」、「これからのために今日すること」を考えてください。そして、これから始まる導入研修や、配属箇所でのOJTを通じて、貪欲に知恵と行動力を身につけ、志を持って取り組んでください。その貪欲な前向きな姿勢自体が、皆さんの前に現れる壁を突破する武器になります。

最後に、みなさんへひとこと。「志操は高く、品格あるツーリストパーソンになれ!」志操とは物事を成し遂げようとする確固たる意志のことです。これを、歓迎の言葉とします。

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…