クルーズの人気上昇は、日本発着の外国客船の登場が契機

最後にたどり着く旅、クルーズの魅力を探る(1)

*写真は 4月から日本発着クルーズに就航するプリンセス・クルーズの「ダイヤモンド・プリンセス」。大浴場を設けるなど、日本マーケット向けに大幅な改装を行った。


ここ2~3年、注目を集めつつある旅行のひとつに「クルーズ」がある。日本におけるクルーズ人口は、2011年の18万6500人から2012年には21万6700人へと、16%もの増加を示している。特に海外の船会社による日本発着クルーズが実施されるようになってきたのが、ひとつの契機となったようだ。ところで、皆さんはクルーズについてどのようなイメージをお持ちだろうか?
アザマラ・ジャーニーの屋外プール

「豪華」や「贅沢」、「あこがれ」、「オシャレな服装」といった言葉、自由気ままな旅といったポジティブなものから、逆にマナーにうるさく窮屈、海の上で退屈、リタイヤした年配者ばかりの旅などといったネガティブなイメージまで、人によって実にさまざま。この幅広さが、実はクルーズが持つ多様な魅力の反映でもあるし、逆に捕らえどころのなさにもつながっていると思われる。

しかしポジティブにしろネガティブにしろ、クルーズを経験したことのない多くの人たちは、非常に片寄った見方をしている。これは一般コンシューマーに限らず、旅行会社に務めている旅のプロにもいえることだ。

そこで本コラムでは、クルーズに対する誤解を解き、少しでも多くの人々にクルーズの楽しみを知ってもらえるように、クルーズの魅力を紹介していきたい。


▼他の旅行との比較することで、クルーズのメリットが浸透

ここで冒頭の話に戻すと、外国クルーズ客船による日本発着クルーズが実施されることによって、クルーズが注目を集めた理由は一体なんだとお思いになられるだろうか?

ひとつは、日本国内の港から手軽に外国クルーズ客船に乗船できるようになったことがあげられるだろう。これまで外国クルーズ客船に乗船するには、飛行機で海外の港まで出向き、そこで乗船する必要があった。そのため日数もコストもかさんだが、国内の港で乗下船できるのならトータルの旅行費用は大幅に削減できる。

次にクルーズ代金が安価だということ。日本のクルーズ客船だと最も安価な代金は1泊3万円前後から始まる設定だったが、日本発着クルーズを実施した外国クルーズ客船の場合は1万円前後から始まる設定だ。


アザマラ・ジャーニー船内

もちろん日本のクルーズ客船に加え、外国クルーズ客船という新しい選択肢ができたことも大きな理由だと思われるが、一番大きいのはやはり代金面の影響だろう。ここに来て、ようやくクルーズは他の旅行と肩を並べて比較されるようになったというわけだ。

しかし、他の旅行と比較されることはクルーズにとって大きな強みとなる。意識の有無にかかわらずクルーズの本質である「バリュー・フォー・タイム」、そして「バリュー・フォー・マネー」が幅広い層に理解され始めるからだ。クルーズとは、支払った金額以上の満足度、そして過ごした時間以上の充実度が得られる旅なのだから。次回から、クルーズについての基本的な知識と、いかにバリューのある旅であるか、そうした視点について書き記していきたい。

  • コラム執筆:竹井智

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