観光立国実現に向けたアクション・プログラム改定、6つの柱をポイントに

第4回観光立国推進閣僚会議が2014年6月17日に開催され、「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2014」を決定した。東京五輪が開催される2020年に訪日2000万人を達成するため、必要な施策を協議し、昨年6月のアクション・プログラムを改定したもの。安倍総理大臣は第4回観光立国推進閣僚会議の冒頭で、今後も進捗管理を図り、毎年見直しをしながら取り組む方針を示している。

今回のアクション・プログラムでは、以下の6つの柱で検討。新規施策を盛り込みつつ、昨年のプログラムの施策で必要なものは改善・強化して継続とした。特に、新たに設けた「2020年オリンピック・パラリンピックを見据えた観光振興」で、幅広い新規策が多数盛り込まれている。


1.「2020年オリンピック・パラリンピック」を見据えた観光振興

国際的注目度を活かした戦略で東京のみならず全国へも効果をもたらすべく、日本の魅力をオールジャパンで発信する。注目度を活かし、スポーツイベントを含むMICE誘致・開催を促進。東アジア諸国と連携した広域プロモーションも検討する。さらに、無料公衆無線LAN環境の整備促進や、「観戦チケット・IC乗車券一体化フリーパス」の導入も検討。郵便局やコンビニ、道の駅等での訪日客への観光情報提供等も推進する。このほか、首都圏空港のゲートウェイ機能の強化、国際チャーター支援など航空による地方へのアクセスの充実、バリアフリー化の加速なども盛り込んだ。


2.インバウンドの飛躍的拡大に向けた取組

日本のモノ・サービスで質の高い日本ブランドを作り上げ、発信することで、高次元なインバウンド政策の推進を目指す。例えば、新しいインバウンドの担い手と取り組みを創出するための異業種間や同業種間の連携を促すプラットフォームを構築。外部のマーケティング専門家が参画するマーケティング戦略本部を観光庁に設置する。このほか、観光庁とJNTO、外務省、国際交流基金がさらに連携し、各国駐在の大使や総領事による訪日トップセールスの実施や青少年交流事業などにより、訪日促進を図る。


3.ビザ要件の緩和など訪日旅行の容易化

訪日旅行の容易化に資するビザ緩和を進めることが重要であり、訪日時の第一印象を決定する入国手続きの迅速化・円滑化を推進する。具体的にはインドネシア向けのビザ免除やフィリピン、ベトナム向けの大幅な緩和、インド向けの数次ビザの導入など(関連記事を参照)。また、富裕層を対象とした外国人長期滞在制度の創設、国際通貨旅客に対する寄港地上陸許可制度の適切な枠組み構築なども盛り込んだ。


4.世界に通用する魅力ある観光地域づくり

世界から選ばれる、魅力ある観光地づくりを行なうため、広域周遊ルートの形成や地域資源の磨き上げを推進。ストーリー性やテーマ性に富んだルートの開発や、海洋観光国としてのブランド強化、農林漁村観光の情報発信の強化も行なう。また、地域の魅力を体感してもらう仕組みづくりとして、宿泊施設での着地型旅行商品の販売制度を検討するほか、離島や中山間地域での自家用車による周遊観光の規制緩和や貸切バスのゲートウェイ施設の発着を可能とする営業区域の弾力化の実施など、制度面での環境整備も実施・検討する。


5.外国人旅行者の受入環境整備

外国人の不便や障害、不安を解消し、満足度を高める。例えば、「地域の案内役」となるタクシー車両への自動翻訳スマホアプリの導入や外国語研修の実施拡大を推進。また、無料公衆無線LAN環境整備では共通シンボルマークを導入する。このほか、ショッピング・ツーリズムの振興として、2020年に向けて全国の免税店を1万店規模に倍増。また、クルーズ受入環境の改善(関連記事)、ムスリムの訪日促進に向けたおもてなしプロジェクト、災害対応など訪日客の安全・安心の確保も強化する。


6.MICEの誘致・開催促進と外国人ビジネス客の取り込み

これまでの国際会議誘致の取組に加え、MICEにも取り組みを拡大。日本の優位性を海外に発信するMICEブランドを構築するとともに、国としてミーティング・インセンティブの誘致戦略を策定し、誘致を促進する。また、ユニークベニューの掘り起こしを図り、リスト化、事例集も取りまとめる。一方、統合型リゾート(IR)については、IR推進法の状況や国民的な議論を踏まえ、関係省庁で検討を進めるとした。


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