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航空機内の不正行為防止を強化、IATA が各国政府に求める3つの原則

国際航空運送協会(IATA)は、カタール・ドーハで開催された第70回年次総会で、各国政府や航空業界に対して、機内での不適切な行動を起こす乗客を効果的に抑止し、管理する手段に取り組むように促していく決議を全会一致で採択した。このような行為には、機内での暴力行為や秩序を乱す行為、合法的な乗務員の指示に従わない場合などが含まれる。

IATAのトニー・タイラー事務総長は「この決議は、乗客や乗務員の権利を守るためのもの。機内では誰もが不正行為など受け入れがたい行為に巻き込まれることなく、旅行を楽しむ権利を持っている。多くの航空会社は、乗務員や地上スタッフに対して、こうした不適切な行為を管理し、またそれを回避する手順を訓練している。しかし、航空会社、空港、そして政府のあいだで、もっとしっかりとした解決方法が確立される必要がある」とコメントしている。

今回のIATA決議は、国際民間航空機関(ICAO)のモントリオール協定2014(MP2014)に基づいて行われた。MP2014は、不正行為に対する法的権限を航空機が着陸するエリアにまで拡大することで、不正行為のより効果的な防止を図ろうとするもの。

不正行為の定義は幅広く、乗務員の指示に従わない行為、不法麻酔薬の使用、セクシャル・ハラスメント、肉体的なあるいは言葉による脅威を与える行為など含まれる。2013年に航空会社からIATAに報告されたこのような事案は約8000件にのぼっている。最も多いのは、搭乗前からアルコール類を摂取し、機内で泥酔しているケース。そのほかに、他の乗客とのトラブル、禁煙、電子機器の使用禁止などの規則に対する不満、飛行前に引き起こされた感情的な要因などがある。



今回の決議では、各国政府にMP2014を批准するように求めるほか、以下の原則を求めている。

  1. 各航空会社は、機内だけでなくチェックインカウンター、入国審査場、搭乗ゲートなどでも、不正行為を防ぐことができるように、社内規程を設けるとともに、乗務員および地上スタッフに対して適切な訓練プログラムを行うこと。
  2.  各国政府および各航空会社は、不正行為の結果について認知度を高めていくこと。
  3.  各空港および空港内のレストラン、バーなどテナント施設も飛行中の不正行為防止に協力すること。