HISとANAセールスが新会社設立、海外177拠点と国内115路線で訪日旅行に取組む"本気”

エイチ・アイ・エス(HIS)とANAセールスは、訪日旅行事業で協業を開始する。2014年11月に新会社を設立する方針で、HISの海外店舗と海外サイトを通じて、訪日外国人にANA国内線利用の個人型の国内旅行を販売する。新会社の資本金は6億円、出資比率はHISが51%、ANAセールスが49%で来春の営業開始を目指す。また、2020年には売上高100億円、送客数20万人の達成を見込んでいる。

今回の新会社設立は、ANAの強みである51都市115路線の国内線と、HISの強みである58か国122都市177拠点の海外店舗の販売網を活かすのが狙い。ANAセールスの持つANA国内線と国内ホテル、レンタカーなどの素材とHISの国内宿泊予約サイト「スマ宿」、ハウステンボスやラグーナ蒲郡を含む全国の観光素材を組合わせたパッケージツアーを新会社が造成し、HISの海外店舗で日本を訪れる旅行者に販売する流れだ。また、HIS運営の多言語展開している39か国41サイトも活用。訪日外国人の多様なニーズに対応し、個人型の国内旅行を提供する。

IMG_6263このほど開催された新会社設立の記者会見で、HIS代表取締役社長の平林朗氏(右)は、「今回の取組みはHISだけではできない」としてANAセールスの持つANA国内線、観光素材、地方行政とのネットワークを重視していることを明らかにした。また、新会社を設立した意味について平林氏は「(新会社では)提携ではできないところをやる」考え。ANAセールス代表取締役社長の白水政治氏も同様の考えで「気合いが違う」として、両者とも一歩踏み込んだ協業に“本気”を見せた。

▼新会社の役割は「商品造成」

 国際空港が起点の観光から、外国人を地方空港へ

平林氏は新会社の位置づけについて「商品造成会社」と説明した。両社がすでに持つ訪日部門などすべての部門から旅行素材を集めて商品を造成し、HISが販売をする。特に平林氏は「どこの国際線を使っても、(日本のパッケージ)商品が買える」が重要と強調した。造成されるツアーは、航路でも国際線でどの路線で日本に到着しても利用できるもの。海外旅行ブランド「チャオ」同様に、旅行者の要望に沿ってフレキシブルなパッケージツアーにしたい方針だという。

IMG_6268ANAセールス代表取締役社長の白水政治氏は、今回の新会社で、ANA国内線ネットワークの強みをもって、外国人を「首都圏、ゴールデンルートだけでない観光地へ」運ぶことができることに期待感を示した。同社は、長年、地方都市とのコラボレーション企画やでステイネーション開発を進めており、こうした経験を活かして「地方の活性化につながれば。」との考えだ。

IMG_6256新会社代表取締役に就任するのは、HISの新規事業開発室室長の深木重和氏(右)。深木氏は、新会社商品の販売については「特に店舗販売を重視」しているという。外国人が日本を訪れた際の国際空港から、さらに都市をまたいで地方の観光施設を訪れるツアーを造成し、「(地方に)たくさんの海外からの旅行者が訪れ、日本からも海外に行ってもらう流れがるつくれたらいい」と意気込みを語った。

IMG_6260副社長就任予定のANAセールス、経営企画部担当部長の廣岡伸雄氏(右)は、ANAとして、これまで実施してきたデスティネーションキャンペーンなどの実績、地域とのつながりを生かして「これまでやってきていなかった外国人を迎えることができるだろう。」と展望している。

▼HISの訪日旅行への取組み

平林氏は、今回のキーとなる海外店舗について、「もともと日本人の受入れのために拠点が増えていたが、今ではインバウンドに」シフトしている状況を明らかにした。HISハワイは年間30万人台を取り扱うようになっており、日本に来る外国人が2000~3000万人になれば「桁違い」となると見込んでいる。

平林氏によると、現地支店にはスタッフが3000人程度在籍しているという。そこで、外国人に対して日本の商品を販売できるように教育にも力を入れていく方針。新会社設立とともに、HIS全体として訪日旅行に注力していく。

(トラベルボイス編集部:山岡薫)

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