MSCクルーズがアジア配船の可能性、新造船などで2018年乗客数を倍増の350万人に【動画】

イタリア・ナポリに本社を置くMSCクルーズ。年間を通じて地中海クルーズを運航するクルーズ会社として、日本に支社を設立して今年で5年目となる。このほど来日したクルーズ新興国を担当するエグゼクティブ・ディレクター、アントニオ・パラディーソ氏(写真右)は、日本を「ポテンシャルが大きく楽観的に見ている」と語る。2014年7月に新たな日本担当マネージング・ディレクターに就任したオリビエロ・モレリ氏とともに、日本市場の動向や同社が目指すところを聞いた。

パラディーソ氏は、「アジアには大きなポテンシャルがある」とアジアへの配船に高い関心があることを明らかにした。また、市場としてだけでなくアジア域外の旅行者のデスティネーションとしても興味深いという。そして、「4年以内にアジアに配船できるのでは」との考えだ。

一方、そのための課題も指摘。まずは、現在すすめる新造船や改装工事が完了し「船に余裕ができれば(パラディーソ氏)」という前提だ。夏場などは、拠点となる地中海でも客室が足りていない状況で、「ある需要をみたしてから、正しいタイミングを計りたい」という。

また、現在のアジアの港は、大型客船を受入れる港が少数であることから、旅程が各社似通ってしまうことを指摘。現在の少数の寄港地では、MSCが重視する旅程で他社と「差別化が図れない」ことが課題で、それが解決されれば配船する可能性は高まるという。同氏は各国の港が「努力と熱意をもっている」として「3~4年で整うのではないか」とみている。


▼新造船や改装で拡大するキャパシティ

日本市場のシェア拡大へ、個人旅行対応のウェブを強化

IMG_6895MSCクルーズが保有する客船は現在12隻。現在発注している新造船は4隻で、2018年までに受領する予定だ。また、「ルネサンスプロジェクト」として4隻(MSCアルモニア、MSCリリカ、MSCシンフォニア、MSCオペラ)の改装に2億ユーロを投入。2015年の改装終了を目標に、約200室のキャビン増設とともに新エンターテイメント施設、噴水公園などを新設する。

こうしたキャパシティ拡大を背景に、MSCクルーズは2013年170万人ほどの乗船客数を2018年には350万人に倍増させる計画だ。日本市場について、2014年は約5%の成長を見込んでおり、モレリ氏(写真右)はMSC全体の中に締める日本人シェアを「今後、増やしていきたい」と語る。

現在、日本市場では、旅行会社の販売によるグループビジネスが主流。シェア拡大に向けて、主流となるグループビジネスに加えて、今後はオンラインを活用して個人旅行者を取り込んでいく。モレリ氏は、日本におけるクルーズ市場で個人旅行が増加する「成熟に必要な段階」に来たとみており、そこに対応するために「ウェブが一番の方法だろう」との考えだ。

なお、モレリ氏は日本市場の特徴として上級クラスから予約が埋まっていくことを紹介。特に「MSCヨットクラブ」の利用は日本人が世界でイタリア、ロシアに続く第3位となっているという。

▼YouTube:プレミアムクラスのMSCヨットクラブ【動画】

(トラベルボイス編集部:山岡薫)

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