ルフトハンザ航空、レジャー市場重視で長距離LCCを検討、目指すのは"5つ星エアライン”

ルフトハンザドイツ航空(LH)のカール・ウルリッヒ・ガーナートCEO(兼ドイチェルフトハンザAG取締役/右写真)は、このほど日本で開催された記者会見で、同社が今後レジャー目的の旅客への路線展開やサービスを充実させる方針を明らかにした。グループ内でのLCC展開や座席構成をレジャー視点で構成することで、さらなる成長を目指す。

同社の調査によると、ドイツの空港を出発した人の72%がレジャー目的であるのに対し、ビジネスでの利用は28%。ガーナートCEOは、こうした結果や各種統計から「いま世界でみられる傾向としてはビジネスに比べてレジャーを目的に旅行する人が増えている。」との見方を示した。そのうえで、今後の成長していくためにレジャー市場にフォーカスしていく考えだ。

具体策として、ふたつの方針を紹介。ひとつめは、レジャーに焦点をあてた座席構成としていくことへの投資だ。同社は、2014年末に新たなクラスとしてプレミアムエコノミー席を投入するが、これはビジネスクラスとエコノミークラスのギャップを埋めるクラスとの位置づけ。長距離路線のレジャー旅客に快適性を向上させたプレミアムエコノミーを提案することで、旅客の増加を目指す。一部機材では、2015年秋からビジネスクラス18席、プレミアムエコノミー19席、エコノミーを262席に変更し、レジャーの旅客が利用しやすいものにする。

もうひとつのアプローチは、グループのジャーマン・ウィングスやユーロウィングスを活用したLCC展開だ。これは、別ブランドとしての低価格サービスを提供するもので、「このコンセプトは他ヨーロッパ市場にも拡大していく(ガーナートCEO)」という。長距離路線でも検討を進めており、現在コンセプトを作成している段階。意思決定は2014年12月が目途となっており、「先に進むことになった場合、レジャーで長距離に使っていく」可能性を示した。

なお、同氏はLCC展開について「当面、日本には投入しないだろう」との考え。今後の旅行者の需要を注意深く見ていく必要があるものの、居住地だけでなくセグメントでも成田がレジャー、羽田がビジネスと旅客の棲み分けができており「両路線とも需要はとても良いレベル」と評価した。


▼目指すのは、“5つ星エアライン”

あらゆるサービスのアップグレードを

右からガーナードCEO、オットーF・ベンツ日本支社長

ガーナートCEOは、同社が目指す方向性として“5つ星エアライン”になることを強調した。5つ星エアラインとは、英・スカイトラックス社による航空会社の格付け「エアライン・スター・ランキング」で、1つ星から5段階の星の数で航空会社を格付けするもの。最高位の5つ星は、2014年はANA(NH)、シンガポール航空(SQ)とキャセイパシフィック航空(CX)、カタール航空(QR)が獲得している。

ヨーロッパ初の”5つ星”を目指すにあたり、同氏は重要なポイントとして「品質で一貫性をもつこと」との考えで、今後サービス改善に注力していく方針だ。プレミアムエコノミーの新設のほか、2015年9月までには長距離の機材では、すべてのクラスのシートをアップグレード。機内食やエンターテイメント、空港ラウンジなど「あらゆるサービスのアップグレードをすすめている(ガナード氏)」という。

特に、機内インターネットでは8000万ユーロの投資が行われ、長距離のほぼすべての路線にネット環境を提供する「Fly Net」を提供。機内でのネット利用は、ビジネスとレジャーともにニーズがあるものとみており「機内でのモバイル利用を全世界で可能にしていく」考えだ(通話は不可)。

(トラベルボイス編集部:山岡薫)

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