九州・沖縄への外国人旅行者数が4割増に、消費額は7割増の2385億円 -日銀調査

日本銀行福岡支店は「九州・沖縄におけるインバウンドの動向と消費額の推計」で、2014年に九州と沖縄を訪れた外国人旅行者数を前年比46%増の232万人と発表した。日本政府観光局(JNTO)の算出方法にならって推計したもの。全国の伸び率(29%増の1341万人)を大きく上回り、2010年からは約120万人増加。これは、4年間の全国増加分の4分の1を押し上げたことになるという。

この好調さは、国際LCCやチャーター便(51万人増)と海港ルート(21万人増)の双方が寄与したものと言及。特に海港ルートは博多や長崎などへの外国クルーズ寄港の増加を受け、訪日外国人旅行者の一時上陸者の寄港地上陸者うち、93%が九州・沖縄で占めたことになる。

旅行消費額では76%増の2385億円と大きく増加。日本全体の旅行消費額(43%増の2兆278億円)でのシェアが、初めて1割を超えた。ただし、1人あたりの旅行消費額は10.2万円で、全国平均15.1万円の3分の2と少ない。支払内訳別で関連業種の売上高と比較すると、飲食費では4.3%、宿泊費では12.0%だという。

日本銀行福岡支店では、九州・沖縄におけるインバウンド消費は、「現在のところ個人消費全体を押し上げるインパクトがあるとは言えない」と言及。ただし、宿泊業やショッピングセンターなどから「業績の牽引役になっている」という声があるとして、「個別業種や個別企業のレベルではかなりの影響を与える可能性がある」との見解も示した。特に旅行会社との連携による誘致強化や設備投資などの動きが広がっており、間接的な波及ルートを含めれば一定の経済波及効果が期待できると見る。

今後の課題としては、1人当たりの旅行消費額が小さい点について、平均宿泊日数の短さが影響していると指摘。クルーズ船のインバウンド客には港湾と周辺店舗との動線の確保、その他のインバウンド客には2次交通の整備などを通じた域内の回遊促進策など、それぞれ分けて対応する必要があると提言した。

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