観光産業の春闘2016、全組合の0.5%以上の賃金改善を要求、「35歳年収550万円」を継続 -サービス連合

サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)は、中央委員会で決定した2016年の春季生活闘争(春闘)の方針を発表した。今季も年収改善、とりわけ月例賃金の引き上げにこだわり、中期的な賃金目標「35歳年収550万円」の実現に向け、すべての組合で賃金カーブを維持した上での0.5%以上の実質的な賃金改善を要求していく。

サービス連合では賃金改善について、安心して働き続ける環境と待遇を改善しなければ人材確保ができないとその目的を説明。2015年度からの取り組みで、すでに実質0.5%以上の賃金改善を実現した組合もあるが、全て組合での実現にこだわる。実現した組合は、業績にあわせたさらなる改善に取り組み、段階的な引き上げを図る。

実は連合(日本労働組合総連合会:労働組合の中央組織)では2016年の春闘方針で、格差是正に寄与する取り組みを展開することを示した。このなかで、中小企業や非正規労働者の処遇改善に向けた主体的な取り組みを進め、大手や親企業の追従や準拠といった従来の交渉における構造を転換する運動に挑戦することも言及している。これを受け、サービス連合でも、中小企業や親企業のいる企業においても、自社の業績で運動できるよう促していく考えだ。

2016年春闘の要求基準は以下の通り。取り組みにあたっては、賃金実態から策定した「指標」や「賃金水準の事態」をもとに中期計画を策定する。定昇制度がない組合や算出が困難な組合、賃金制度が未整備な組合には、賃金カーブ維持分の参考値として、ホテル・レジャー業は4971円、観光・航空貨物業は5379円と定めた。さらに観光・航空貨物業に関しては、月例賃金の最低到達目標額として、22歳で17万2000円、35歳で30万円程度を補足基準とした。

なお、サービス連合として「組織人員5万人」の目標達成に向け、組織強化と拡大への取り組みを引き続き推進していく。


【2016年春闘の要求基準の柱】

  1. 正規労働者の実質的な賃金改善をはじめとした年収改善への取り組み
    • 賃金改善:賃金カーブを維持した上で0.5%以上の実質的な改善
    • 一時金:「35歳550万円」に向け「指標」を活用して取り組む。「指標」を活用しない場合の目標は年間支給月数4か月相当。すでに確保している場合は実績以上を要求
  2. 契約社員やパートタイマー等の待遇改善
    • 賃金改善:月例給労働者は0.5%以上の実質的な賃金改善分を加えた3400円以上の改善、時間給労働者は20円以上
    • 均等・近郊接遇の実現:不条理な労働条件の是正、正社員との整合性が確保された人事・賃金制度の導入など
  3. 産業全体の賃金の底上げを目指した最低保障賃金の協定化
  4. 年間総実労働時間短縮
    • 年間総実労働時間1800時間の実現
  5. 両立支援・男女平等社会の実現
  6. 60歳以降の雇用確保の取り組み

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