商工会議所が観光振興で内閣に意見書、訪日客の地方分散に「交流拠点都市」の構築を

日本商工会議所は、「今後の観光振興策に関する意見~『新たな観光ビジョン』策定への期待~」を取りまとめ、内閣総理大臣および関係閣僚に提出した。

意見書では、観光の現状認識と課題を整理した上で、地方創生の観点を中心に国の役割を提言。2020年、2025年などの節目ごとに具体的な数値目標を設定することが必要などの基本的考え方を示しつつ、インバウンドと国内観光の課題解決のための観光施策を提案した。

例えばインバウンドでは、外国人旅行者の全国分散・拡大のため、政府が認定した7つの広域観光周遊ルートや観光立国ショーケースとして選定した3都市のなかから、日本商工会議所が2015年5月に提言した「交流拠点都市」(地域への旅行者の分散の核となる都市)を指定することを提案。

国内観光では旅行者のニーズに対応し、泊食分離や電子決済、IoTへの対応など観光産業の経営革新が必要とし、国による観光関連基礎データの一元的な整備と提供を求めた。このほか、民泊など新たなニーズに対応した観光関連法制度の整備も盛り込んだ。主な内容は以下の通り。


【日本商工会議所「今後の観光振興策に関する意見~『新たな観光ビジョン』策定への期待~」の主な内容】

1.基本的考え方

・観光は地方創生、デフレ脱却、成長戦略の切り札。インバウンドを日本の成長につなげていくことが重要

・国内観光は、長期的な低迷を食い止めることが必要
・政府は国内外の観光に関する数値目標を国別、日本の地域別など具体的に設定し、観光立国への強い意思を明確にすることが重要


2.現状認識

・高い伸びを続ける訪日外国人旅行者数と消費額は、今後も増加する見込み

・旅行者は特定地域に集中、施設等の供給が逼迫
・日本人国内旅行者数、旅行消費額は長期的には減少傾向


3.今後の重点的な観光施策の展開

(1)インバウンドの課題と対応

・外国人旅行者の全国分散・拡大が重要。昨年5月に提言した「交流拠点都市」を、政広域観光周遊ルートや観光立国ショーケースの選都市の中から指定すべき
・東アジアのみならず、欧米など多様な国からの誘客を進め、安定的な訪日外国人旅行者数と旅行消費額の確保が必要

(2)国内観光の課題と対応

・旅行者ニーズに対応した観光産業の経営革新(泊食分離、電子決済、IoTへの対応など)
・官民連携による休暇取得キャンペーン等、観光需要の平準化に向けた取り組みの強化
・国による観光関連基礎データの一元的な整備と提供

(3)その他今後検討が必要な課題

・河川や港湾、歴史的建造物等の未利用資源の活用促進に向けた規制緩和や、民泊などの新たなニーズに対応した観光関連法制度の整備
・地域における観光マネジメントの推進と二次交通・宿泊施設等観光インフラ整備の促進
・観光庁と関係府省庁の連携強化によるニューツーリズムの推進、KPIの設定等を通じた観光施策の進捗状況の見える化、ワンストップの相談・情報提供体制の構築

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