旅館協会とペイパルが提携、事前決済で不泊・直前キャンセル対策から地方集客に期待

左から)橋本氏、針谷氏、森氏

全国約2800軒が加盟する日本旅館協会とオンライン決済サービスのペイパル(PayPal)は、業務提携を締結した。訪日外国人が急増するなか、海外客の利用が多いペイパルを導入し、事前決済を可能とすることで利便性を向上させるほか、旅館が抱える(1)ノーショー・直前キャンセルによる販売機会の損失、(2)一定エリアに集中する訪日客の地方集客、の2つの課題解決が目的。

発表会見で日本旅館協会会長の針谷了氏(湯元舘・代表取締役会長)は、「旅館は日本の観光の重要な資源。世界からの旅行客の利便性を高めなければ観光立国は実現できない」と述べ、提携の重要性を強調した。ノーショー・直前キャンセルに対しては「“1泊2食”を提供する旅館の場合、影響が大きいことを理解いただきたい」と述べ、ペイパル導入による機会損失の軽減に期待を示した。

ペイパルのラージ・マーチャント・セグメント統括部長の橋本知周氏は、観光業者が導入するメリットとして、(1)セキュリティやカード情報の管理が不要で安心して利用できること、(2)銀聯カードを含む主要なカードブランドや現地通貨決済に対応していること、(3)モバイル対応、の3つを提示。

また、同協会クレジットカード委員長の森晃氏(湯宿・寿命延)は、提携の決め手について(1)海外でのネームバリュー、(2)予約エンジンとの連携、(3)メール送信でも非対面のオンライン取引を実現できる、の3点を挙げた。特に(3)は、自社サイトでの決済対応をしていない旅館でも、メールで直接連絡してきた訪日予定客に対して、返信メールで事前決済を案内できる。

これらのメリットに加え、決済データを活用したエリアマーケティングやユーザーへのプロモーションを会員に共有し、「ペイパルとともに地方へお客様を呼び込みたい」と期待する。

発表資料より

さらに森氏は、「旅館は地域の文化と経済の中心という自負を持って活動している」と述べた上で、「地域観光を考えた時に、旅館を含む周辺の土産物店や飲食店などでもクレジットカード決済ができる必要がある」とも言及。旅館がその効果を周辺店舗に伝えることで、地域全体の決済利便の向上を実現させたい考えも明かした。

現在、同協会の会員施設のうち、予約エンジン導入済みの自社サイトを有する施設は約9割に及ぶが、ペイパル導入は「ほぼ数軒」に留まる。まずは1年で300軒程度に増やすことを目標とし、6月15日開催の同協会の総会でも、冒頭で今回の連携の説明をする予定だ。

ペイパルは連携する予約エンジンを増加


宿泊施設が自社サイトでペイパルの決済ができるようにする場合、ペイパルが提携する予約エンジンを導入する必要があるが、橋本氏はペイパルが提携先の増加を推進していることも発表。

現在、「FASTBOOKING」と「予約プロプラス」と提携しており、7月末までに「OPTIMA」、「ダイレクトイン」、「予約番」、「宿シス」とも連携完了する予定。このうち、「予約番」と「宿シス」は同協会の推奨予約エンジンだ。これにより、「日本で自社予約ができる宿泊施設の7~8割をカバーできるようになる」見込み。さらに、数社の予約エンジンとも提携の協議を進めているという。

なお、ペイパルでは昨年から宿泊施設との提携が増加。今年4月には日本旅館協会の会員でもある鶴雅グループも導入している。

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取材:山田紀子(旅行ジャーナリスト)

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