トラベルボイストラベルボイス | 観光産業ニュース 読者数 No.1

「旅の図書館」がリニューアル、新築「日本交通公社ビル」で情報・知見を共有する拠点として -日本交通公社

公益財団法人日本交通公社は2016年10月3日、旅行・観光の専門図書館「旅の図書館」をリニューアルオープンした。東京・南青山に「日本交通公社ビル」を新築したのに伴うもの。調査研究部門と総務部門と同様に、図書館も同ビルの1階、地下1階に移転。これを機に、コンセプトを「テーマのある旅を応援する図書館」から「観光の研究や実務に役立つ図書館」に変更し、図書館機能と調査研究活動の融合による観光振興の創発の拠点としての役割を図る。

リニューアル後は蔵書規模を約3万5000冊から約6万冊に拡大。調査研究部門が活動で収集してきた図書や統計、調査研究報告書なども蔵書としたほか、明治期の国内観光に関する文献や昭和期のインバウンド向けガイドブックなど、約2300冊の古書・稀覯書の閲覧も事前予約を不要とし、当日の閲覧申請で来館時の公開性を高めた。

また、地下1階には書架に隣接した100名規模の収容が可能なライブラリーホールを設置。同財団が開催してきた「旅行動向シンポジウム」やゲストスピーカーと気軽に研究交流を行なう「たびとしょcafe」をはじめ、講演会や研究会など、観光に関わる人々が交流できる機会を増やし、知見やネットワークを共有する観光の研究・情報プラットフォームとし、創発的進化を目指す場としていく考えだ。

古書・稀覯書は専用書架を用意。事前予約が不要に。

文部科学省の「学術研究機関」に指定

リニューアルオープンに先立ち開催した第1回特別企画・内覧会とたびとしょcafeの挨拶で、日本交通公社会長の志賀典人氏は、同ビルの新築について長期経営計画「22ビジョン」に基づく取り組みであることを説明。同ビジョンは、2012年に公益財団法人に移行した際、公益性の担保をはかるため、実践的な学術研究機関として観光文化の振興に貢献する目的で策定したもの。事業活動を支えるための財務基盤の安定もテーマの1つで、優良資産の取得と固定費の圧縮が目的だという。

「22ビジョン」の策定後、自主研究活動や地域大学との連携による研究活動、国・地方からの受託研究事業等に取り組み、2016年5月には文部科学省から学術研究機関に指定された。今後は「旅の図書館」を含め、実践的な学術研究機関の拠点として利活用し、「観光に携わる地域や研究者、事業者などの情報収集・情報発信の場としての役割を果たす」との意欲を語った。

公益財団法人日本交通公社会長の志賀典人氏

旅の図書館の利用案内および日本交通公社ビルの概要は以下の通り。

【旅の図書館】

【日本交通公社ビル】