三越伊勢丹グループがニッコウトラベルを完全子会社化、シニア層の「コト消費」に対応、高級旅行事業に本格参入へ

三越伊勢丹ホールディングスは2017年2月10日、株式公開買い付け(TOB)を通じてニッコウトラベルを子会社する。ニッコウトラベルの創業者で筆頭株主の久野木和宏氏ら計43.33%の株式をTOBに応募することで合意したもの。完全子会社化以降の経営体制については、三越伊勢丹グループから役員を派遣する予定だという。具体的な候補者は未定だ。

三越伊勢丹ホールディングスは今回の発表に際し、顧客接点を拡大する取り組みとして「高付加価値なラグジュアリー旅行事業」への本格参入の方針を提示。今回の子会社化については、「三越伊勢丹グループ3ヶ年計画(2016年度~2018年度)」にも含めた"顧客価値の高いコンテンツの創出"、"顧客接点の拡大と充実"、"生産性向上の推進"、"グループリソースを活用するための基盤強化"に向けた取り組みの一環としている。

経緯としては、顧客の関心が特別な時間や体験といった「コト」消費に向けられてきた状況を鑑み、時間とお金に余裕のあるシニア層を対象に、代表的な「コト商品」である旅行事業強化の判断に至ったと説明。旅行専門の100%子会社を傘下に置くことで、柔軟性とスピード感を持った経営判断、旅行業に特化した専門性を持つ人材の獲得や育成、高級旅行市場における位置づけの確立を目指すという。

株式公開買い付けの期間は2017年2月13日から3月23日まで。買い付け価格は390円で、前営業日(2月9日)の東京証券取引所市場第二部における終値(303円)に対して28.71%、全営業日までの直近1ヵ月の終値単純平均値(301円)に対して29.57%のプレミアムが加算されている。

ニッコウトラベルは「ゆとりある豊かな旅」をコンセプトに、海外を中心とする添乗員付きのツアーを提供。例えばバス移動時間や徒歩時間を少なくするほか、国際線での出発前日は空港近くに前泊。自宅からホテルへの無料配送をおこなうなど、きめ細かなサービスでゆっくり疲れずに観光できるツアーの提供を特徴としている。

なお、三越伊勢丹ホールディングスには同じく旅行事業を行う子会社「三越伊勢丹旅行」がある。


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