経団連、観光庁から「観光省」への格上げ検討も要望、観光立国推進基本計画に新たな施策を提言

日本経済団体連合会(経団連)は2017年度~2020年度を主な対象期間とする改定版となる「観光立国推進基本計画」に対する意見を発表した。

イノベーションの急速な進展や人口構造の変化など、経済・社会情勢が大きく変化する次の5年間における対応の重要性を示しつつ、基幹産業として国内外の観光需要を国・地域の成長に繋げるための方針と施策を提示したもの。また、基本計画の着実な実行のためにも、その司令塔機能である観光庁の省への格上げについても検討を促した。

基本的な方針は、旅行者の拡大である「量」と同時に、高いレベルで観光の「質」を追求すること。その実現のため、(1)観光の「稼ぐ力」の発揮、(2)先端技術の積極的な導入、(3)地域主導での自立的成長の3点を明確に掲げるべきとした。

また、基本計画の目標設定は、単年度ではなく計画期間の累計・平均、一人当たりの数値を重視すべきと提言。特に観光の「稼ぐ力」を多様な側面で測るためには、国・地域別、訪日目的別といったセグメントごとの明確な目標設定を求めた。

具体的な方策

これらを踏まえ、政府が計画的に講ずべき施策を、1.観光関連産業の成長力強化、2.受入体制の整備、3.地域主導による自律的成長、の3つの分野で提言。

例えば、1.観光関連産業の成長力強化では、空港や港湾をゲートウェイだけではなく、消費を促す場としての活性化や、ショッピング・ツーリズム拡大に向けた免税制度の簡素化・電子化や上限額の引き上げなどを新たに盛り込んだ。

特に、技術開発・普及促進では、完全自動運転車(レベル4)や接客・サービスロボット・AI(人工知能)、多言語翻訳ツール、説明の代替となるVR(仮想現実)について、効率化や労働力不足への対応だけでなく、観光資源の魅力発信としても欠かせないと言及。観光に関わる技術開発の推進と観光現場での早期実用化とともに、先端技術の導入を視野にした既存の法制度の見直しを提案した。

また、2.受入体制の整備では、二次交通の整備や東京オリンピックを見据えた東京中心部へのアクセス強化など。3.地域主導による自律的成長では新たに、日本版DMOの形成支援や、地方創生に関わる一部の予算の複数年度にまたがる執行、東北をはじめ大規模な震災などに被災した地域の国による観光地再生支援などを盛り込んだ。

経団連が提言した詳細な内容は以下から閲覧が可能だ。

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