米国と英国、航空機内にノートパソコンなど電子機器の持込みを禁止、中東・アフリカの指定都市を対象に

AP通信

米国と英国では、2017年3月21日(現地時間)に発表された航空機内の電子機器の機内持ち込み禁止で各方面が混乱している。この規制はノートパソコン、タブレット端末、ゲーム機器などスマートフォンよりも大きな機器が対象。すべてチェックイン時に預け荷物に入れなければならないとするもの。

AP通信によると、規制が課せられるのは、中東・アフリカ10都市からの米国便。アンマン、クウェート、カイロ、イスタンブール、サウジアラビアのジェッダとリヤド、カサブランカ、ドーハ、アラブ首長国連邦のドバイとアブダビ各空港が対象となり、1日50便ほどに影響が出ると予想されている。

また、英国がこの規制を適応するのは、トルコ、レバノン、ヨルダン、エジプト、チュニジア、サウジアラビアのすべての空港になる。

直近の米運輸省のデータに基づくと、この禁止令で影響を受けるのは週およそ333便の米国線、約9万4000人にのぼり、そのうち約36%がドバイ発の乗客になる。

米国の規制は21日に発効されたが、政府は航空会社に3月25日の午後3時(米東部時間)までに実行を求めており、それを怠ると、その後、米国への飛行は禁止される可能性があるという。

米英の政府高官は21日、今回の決定は、特定の脅威にたいする措置ではなく、長年にわたって懸念されてきたテロリストによる民間航空機への攻撃に対応するものだとの声明を出した。

また、米政府高官は、この規制を「吟味された情報」の結果だと発言。昨年、ソマリア上空でダーロ航空の機内で起こった爆破事件は、ノートパソコン内に仕組まれた爆発物が使用されたと付け加えた。英政府高官も、爆発物を使用して直接ヨーロッパ人を狙う計画は把握していないと発言している。

AP通信

この米英の規制に対して、旅行者の間では困惑と疑念が広がっている。機内へのノートパソコンの持ち込みが禁止されると、ビジネスマンは機内での仕事に支障が出る。チェックイン荷物に入れると、盗まれる危険性も高まるという声もある。

トランプ大統領の入国禁止令に反対しているアメリカ自由人権協会は、今回の持ち込み禁止に対して、イスラム諸国からアメリカへの渡航者を標的にした新たな措置として、反発を強めている。

AP通信がまとめた新規制後の各関係機関の反応は以下だ。

ロイヤル・ヨルダン航空

ロイヤル・ヨルダン航空は、米国土安全省による新規制にしたがって、3月24日から電子機器の機内持ち込みを禁止すると発表。

ベイルート空港

ベイルート空港の責任者は、3月24日に英国便への持ち込みを禁止するとする声明を出した。対象となるのはベイルート/ロンドン線を運航するレバノンのミドルイースト航空とブリティッシュ・エアウェイズ。

ロイヤル・モロッコ航空

モロッコのロイヤル・モロッコ航空は新規制について分析中。モロッコ政府も公式には反応を出していない。

トルコ

トルコ運輸相は米政府に対して、イスタンブール/アメリカ線での規制の見直しあるいは緩和を求めるとの声明を発出。「トルコ当局は、可能なあらゆるセキュリティー対策を取っている。他の都市とイスタンブールとを混同しないでほしい」と述べ、今後数日でこの問題が解決されることを希望すると付け加えた。

一方で、ターキッシュエアラインズは、ホームページ上でスマートフォンより大きな電子機器の機内持ち込みについて注意喚起を行っている。

カタール航空

カタール航空は、乗客に対して注意喚起を実施。航空機の荷物スペースに乗客の電子機器を保管する特別措置を取ると発表した。

エジプト航空

エジプト航空は、3月24日のニューヨーク便からこの規制を適用すると発表。乗客に対しては近いうちに告知するとしている。

エミレーツ航空

エミレーツ航空は3月21日現在、米国から正式な通知は届いていないとしながらも、今年10月14日までに新規制を、トランジットを含むすべての米国線の乗客に適用すると発表した。

*この情報は、2017年3月22日15時現在(日本時間)の情報です。

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