民泊などシェアビジネスは「兼業・副業」か? 経産省が電子商取引の法令・規定を整理

経済産業省はこのほど、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の内容を改訂した。この準則は、電子商取引や情報材取引分野で、民法や関連法律がどのように適用されるかを明確にして取引の円滑化につなげるもの。学識経験者や関係省庁、消費者などの協力を得て2002年に公表後、専門ワーキンググループなどで検討をおこない改訂としている。

今回新設された項目のうち「シェアリングエコノミーと兼業・副業に関する就業規則」では、シェアリングサービスの提供者が、労働者の兼業や副業を禁じる就業規則をもつ企業の会社員である場合について解説。民泊やライドシェア、駐車スペースの提供などさまざまなビジネスの存在に言及しながら、就業規則の効力範囲や判断内容を解説した。

ポイントは、「会社員が企業(雇用者)の経営秩序や労務の統制を乱す恐れがある」場合に兼業禁止規定の効力が及ぶ場合があるとする点。例えば、不動産などを活用して収益を得る場合と労務を提供する場合などでも状況は異なるとし、特に「総労働時間が過重なものになってしまうなど、健康を害し、あるいは本業に支障をきたすことにならないか」という観点からの判断が求められると解説。具体的な判例なども提示しながら論点を整理した。

そのほか、新設項目として「アプリマーケット運営事業者の責任」では、いわゆるアプリマーケットの表示説明内容の責任所在を説明。「オンライン懸賞企画の取扱い」では、ウェブサイトやSNSで懸賞企画を行う場合について、景品表示法上の問題点を整理。「自動継続条項と消費者契約法第10条等」では、オンライン販売における定期販売契約の更新問題を取り上げた。「使用機能、使用期間等が制限されたソフトウェア(体験版ソフトウェア、期間制限ソフトウェア等)の制限の解除方法を提供した場合の責任」では、制限を解除する手段を第三者が有償で提供する行為を対象に、法的責任を検討している。

併せて、消費者契約商法や個人情報保護法の改正に伴い、既存の準則に対して一部改訂を実施。ウェブサイトの利用規約やユーザー間取引に関するサービス運営事業者の責任範囲などついても改訂が施されている。

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