トランプ政権下の米国で観光産業がプラス成長、規制の影響は限定的、ビジネス・レジャーともに

米国の観光産業を直撃すると心配された「トランプ・スランプ」の状況が見えてきた。トランプ大統領が就任後に発令した入国規制政策などで、米国観光産業全体に逆風が吹くとされた現象だが、現在のところ、まだ影響は軽微で、プラスの成長すらみられているようだ。AP通信が報じている。

米国旅行協会(USTA)によると、2017年5月の訪米外国人旅行者数が前年同月比5%以上のプラス成長となった。USTAがまとめている旅行動向調査「トラベル・トレンズ・インデックス」の数字だ。トランプ政権が訪米旅行に対する規制強化を進めるなか、需要の減速が懸念されていたが、予想とは異なる数字となった。

またUSTAは、2017年4月の訪米旅行者数について修正を加え、前年同月比6.6%増との最新値を明らかにした。これまでUSTAでは、同月の訪米客数は同4%増としていた。

USTAのロジャー・ダウ会長は今回の統計について「訪米旅行マーケットは難しい局面にあると言われてきた。強いドルや世界的な経済成長の減速なども要因。だが旅行産業の強さには驚くばかりだ」との見解を表明。同調査結果では、米国内旅行の需要も、ビジネスとレジャー、両面で堅調に推移している状況としている。

各業種でも状況は悪くない。ホテル業界のデータ分析をおこなうSTRグローバル社によれば、2017年は年初から5か月にわたってホテルの稼働率が上昇。MICE関係者によると過去6か月の国内・国際会議でも減速は見られず、博物館では来場者の増加が確認されているところもあるという。 こうした状況は、米国外からの旅行者が、旅先を決めたタイミングが規制が発表される前であったという見方もある。しかし、多くの識者は、短期的には政治よりもUSドル(為替)のほうが影響が大きいとみている。ただし、一部オンライン行動では米国の旅行検索が低下しているという報告も。トランプ政権下の観光への影響は中長期的に観測する必要がある。

USTAは、2017年全体での訪米旅行者数については、伸び率が緩慢になるとの見方を示しており、1~11月の訪米旅行者数は、前年比1.8%増にとどまると予測した。この数字は、予約動向データに基づき推計している。

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