観光庁、旅行会社のツアー募集広告で「前受金の使途」明示へ、てるみくらぶ破綻で対策

観光庁は、旅行会社によるツアーの募集広告・旅行者募集のあり方や宿泊施設への支払い(精算)について、新たな方針をとりまとめた。先に破産したてるみくらぶの事案を踏まえ、消費者保護を目的とする再発防止策として有識者による会議で検討を進めてきたもの。2017年12月の実施に向けて、具体的に進められる。

募集広告、旅行者募集のあり方の見直し

てるみくらぶの事案では、新聞広告などで「現金一括支払いキャンペーン」などと消費者をあおり、出発日よりもかなり前倒しで払いを促す流れがあった。こうした不適切な広告や旅行者募集を回避する目的で、今後、以下2点の制度導入を行う。

  • 新聞広告やインターネットで募集を行う際の広告の適切な表現・内容を、日本旅行業協会(JATA)や全国旅行業協会(ANTA)が「旅行広告・取引条件説明書面ガイドライン」に記載する。観光庁は消費者庁と連携をおこない、そのガイドラインを消費者に周知する。
  • 前受金の使途については、必要性は認められるものの「一定の限度があるべき」。そのため、「旅行催行の60日より前に、前受金を20%以上」を受け取る場合には、広告やパンフレットに前受金支払いの期間や使途を具体的に記載。旅行者に明示することを「経営ガバナンスガイドライン」に記載する。

旅行業の宿泊施設等への支払い期間等の見直し


宿泊施設への支払いは、旅行催行よりも後になることが一般的で、てるみくらぶの破綻では旅行中の旅行者がホテルを締め出されるなどの被害が見られた。さらに旅行業者が宿泊施設の空室を長期間抑える商慣習が残っている。こうしたことは、旅行会社が前受け金を受け取るものの前払い金としての役割をはたしていない状況があるとして、宿泊施設やランドオペレーターへの支払いに関しては、以下のガイドラインに定める。
  • 第1種旅行業者が宿泊施設の空室を長期間押さえるような場合は、「可能かつ合理的な範囲」で前払金を支払うとともに、通常取引の中で、履行すべき時期より支払いの遅延が生じないよう、経営ガバナンスガイドラインに記載する。

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