2017年度上半期の旅行業の倒産はじわり増加、宿泊業は前年同期比1.5倍に -東京商工リサーチ

東京商工リサーチは、2017年度上半期(4~9月)の旅行業と宿泊業の倒産状況を発表した。

・旅行業

旅行業の倒産件数は17件で前年より4件増加。負債総額は前年比17.1%増の17億2300万円だった。倒産件数は、上半期として4年ぶりに前年同期を上回り、半期別でも3期連続の増加となった。

負債額別では、1000万円~5000万円未満の小・零細規模の倒産が、全体の64.7%となる11件(前年3件)に急増。従業員数別では5人未満が11件、5人以上10人未満は4件で、10人未満が全体の約9割を占めた。原因別では、「販売不振」が全体の7割となる12件(11件)だった。

東京商工リサーチでは、旅行業の倒産が緩やかに増勢していると説明。業績が天災や海外テロの影響で低迷し、小・零細業者を中心に休廃業・解散が高止まりしているという。さらにオンラインでのセルフブッキングも増えていることから、今後は業績不振から抜け出せない企業や先行きが見通せない小・零細業者を中心に、倒産や休廃業がピッチを上げていく可能性が高まっていると指摘する。

発表資料より

・宿泊業

宿泊業の倒産件数は前年同期の1.5倍にあたる46件で、大幅に増加。前年同期を上回ったのは2年ぶりのこと。負債総額は152億3500万円。6年ぶりに前年同期を上回ったが、過去20年間では2016年度に次いで2番目の低水準だった。

地区別では中部が12件(前年3件)で4倍増に。特に長野県が8件(前年2件)で急増した。原因別では「販売不振」が27件で全体の約6割に。その他「既往のシワ寄せ」が12件、「設備投資過大」が2件、「他社倒産の余波」と「その他」が1件。

宿泊業では本体に過剰債務を残し、新会社に営業権を移管して特別清算を申請するケースが増加。2017年度上半期では全産業の倒産で特別清算は3.4%だが、宿泊業では21.7%と5社に1社が選択している。

この状況について東京商工リサーチは、宿泊業は長い歴史や信用、知名度など、一般の企業と異なる部分も大きく影響しており、金融機関や再生ファンドの支援を得られれば、第二会社方式での再生を目指す企業が増えると説明。ただし、こうした強みを持たない小・零細企業の倒産は、当面増勢する可能性が高いと指摘している。

発表資料より

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