てるみくらぶ破綻の真相が明らかに、3年前から「債務超過」と「多額の粉飾決算」、都内で債権者集会を実施

てるみくらぶ 第1回債権者集会が行われた会場(2017年11月6日撮影)

2017年11月6日、大きな被害を出して破綻した「てるみくらぶ」の債権者集会が都内で行われた。そこでは、新たに同社が2013年4月には月次の総利益がマイナスになっており、その後2014年9月期には債務超過に陥っていた事実が明らかになった。

債権者に配布された資料には「多額の粉飾決算」という項目が設けられ、過去7期分の税務申告書上の貸借対照表と損益計算書の実態(粉飾決算修正前のもの)と粉飾決算による修正後の数値が示され、出席した債権者はその事実に改めて怒りを覚えたという。

また、債権者に対して破たんにいたった事情についても示した。その内容は、2012年頃からLCCの台頭や航空券の仕入れなどの環境変化によってビジネスモデルの転換が図れず、格安で旅行を販売することで運転資金を確保。資金集めのための赤字販売を続け、それが「雪だるま式に増加していった」としている。

破産管財人の調査では、2013年4月には月次の総利益がマイナスに。その後、繁忙期を除いて月次で数百万円から数千万円の粗利益がマイナスになる状況が続き、2014年9月期には債務超過に陥っていた。その後も、運転資金を調達するために、赤字商品の販売を続けた結果、2015年1月以降は月次の粗利益が全てマイナスになったという。

2017年2月末段階で、宿泊施設に対する取引債務5億6600万円の遅滞が発生し、破たん直前、3月23日が期限だったIATAへの支払い3億7100万円を実行できなかった。さらに、24日以降の支払期限がくる宿泊施設や海外の現地ランドオペレーターなどに対する債務の支払いの見通しが立たず、同27日に破産手続き開始に至った。

一体経営をしていた関連会社、「自由自在」や「てるみくらぶホールディングス」についても、てるみくらぶの破綻によって資金不足で連鎖した。

なお、債権者によると代表取締役の山田千賀子氏も破産手続きに入ったことが説明されたという。

今後の手続きは?

破産管財人の資料によると、てるみくらぶ破産手続きの中で過年度の更生請求などによる税金の還付が認められる可能性もあるという。その配当を債権者に「配当可能性はあるものと判断」していることが示された。一方で、「自由自在」「てるみくらぶホールディングス」の配当可能性は低いことも明示されている。

被害者に対する救済では、日本旅行業協会(JATA)が行っている弁済制度もある。JATAでは、現在、弁済申請のあった書類の認証審査しているところ。それが終わった段階で、認証された被害者には弁済される金額などが通知されることになる。3月の段階で、その処理は8~9か月かかる見込みを示しており、年内から遅くとも年明けには被害者への通知とともに弁済の全体像が明らかになるだろう。

どんな債権者集会だったのか?

集会に参加した債権者(一般旅行者)によると、収容人数約1600人の会場で1階席の約半分弱が埋まった。約500人前後が出席したものとみられる。冒頭では、山田社長が債権者に対して謝罪。上記の粉飾決済が指摘されているものの、破綻したこと自体は計画的でなかったことを話したという。

時には、ヤジや怒りの声が上がることもあったというが全体的に債権者は冷静に話にききいったという。質疑応答の時間には、約20名の債権者が質問。東京商工リサーチによると、質問内容で社長の犯罪行為の有無を問う質問もあった。そこでは、破産管財人の弁護士・土岐敦司氏が「捜査機関に資料は提供している」と回答した。全体の質問と回答での債権者の感想では、明確に納得できる回答が得られるものではなかったというコメントが多く聞かれた。

また、会場前には多くの報道陣が訪れ、被害者へのインタビューを行うなど、社会的なインパクトが大きな事件だったことを物語る光景が広がっていた。

会場前に集まる報道陣

次回の債権者集会は来年の5月28日。詳細は管財人ホームページで案内される。

トラベルボイス編集部 山岡薫

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