国際航空運送協会(IATA)が決済システムを大幅改定、旅行会社の倒産リスク管理の枠組みなど、新たな認定条件「ライト型」も登場

IATA(国際航空運送協会)は2018年以降、ほぼ半世紀ぶりとなる決済システムの大規模な改定に着手する。11月下旬に開かれたIATA旅客代理店会議で、次世代型IATA決済システム(NewGen ISS=the New Generation of IATA Settlement Systems)の導入を可決したもの。2018年3月からの段階的な実施を予定している。

既存の決済システムBSP(Billing and Settlement Plan)は、1971年から旅行代理店と航空会社間の決済で利用されており、現在、米国を除く世界180か国・地域で使われている。しかし将来を見据えたアップデートが必要との認識から、航空会社、旅行会社、IT・システム会社の間で、改定の方向性が協議されていた。

IATAの財務・流通担当上席副社長、アレックス・ポポヴィッチ氏は「既存のものより、フレキシブルで幅広い選択肢がある決済システムに改良し、航空会社の財務面でのリスク軽減にもつなげる」としている。

新しいIATA決済システムでは、まずIATA公認の旅行代理店を「グローバル」「スタンダード」「ライト」の3レベルに分け、認定に必要な条件などの幅を広げる。世界の複数拠点でBSP精算が可能なグローバル型と、1か国内のみのスタンダード型のほか、認定条件が軽いライト型を設定。ライト型では、決済手段は利用客のクレジットカードまたはIATAの電子ウォレット「イージーペイ(EasyPay)」のみとする。

なお、イージーペイは、すでにノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランドで試験導入を開始。新しい信用保険「グローバル・デフォルト保険」の提供も始まっている。

さらに旅行会社の倒産などに備えるリスク管理の枠組みとして、発券額に上限を設定する「RHC=Remittance Holding Capacity」制度を導入する。RHCの算出方法は、原則として、過去12か月間の取引で、最も精算金額が多かった期を3つ選び、その平均値を倍にする。発券額がRHCを上回った場合、その期内の残りの発券は、イージーペイまたは旅行者のクレジットカード利用など、航空会社にとって低リスクの手法に限定される。

ポポヴィッチ上席副社長は「航空券の販売額を制限することが目的ではなく、あくまで航空会社の財務リスク回避が目的。RHCの手法については、航空会社と旅行会社の間で協議し、旅行会社が自由に販売できるフレキシビリティにも配慮した」と説明している。

またIATA旅客代理店会議では、航空会社と旅行会社が、ぞれぞれの取引決済において、より透明性を高めるべきとの決議を採択。航空会社と旅行会社間において、事前に合意した形式での取引が順守されるよう求めた。

一方、両社間での合意があれば、これまでのBSPでは承認していなかった旅行会社のクレジットカード利用を含め、より競争力のある革新的な決済手法の導入も認める考えを示した。

以下は、IATAから発表されている紹介動画。次世代型IATA決済システムの構成などがイラストで分かりやすく説明されている。

Introduction to IATA NewGen ISS(Youtube:約1分)

IATA NewGen ISS(英語)

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