民泊の自治体条例に意見書、シェアリングエコノミー協会が公表、過度な制約を懸念

シェアリングエコノミー協会は2018年1月29日、住宅宿泊事業関連条例に関する意見書を公表した。都道府県知事のほか、保健所設置市市長、特別区区長、地方自治体の住宅宿泊事業所管担当向けに提出したもの。

同協会では、安心安全への過度な配慮によって、入り口部分で厳しい規制をかけてしまい、それによって本来の「ホームシェアリング」のメリットやモデルが浸透・発展しない事態に至ることを懸念。国内における健全なシェアリングエコノミーの発展に向け、柔軟かつ実態に即した法律や条例を期待する内容が記されている。

意見書ではまず、住宅専用地域全体を対象とした一律の制限を課すべきではないと主張。都道府県や保健所を設置する市・特別区全域を対象とした一律の制限は、住宅宿泊事業法(民泊新法)の目的に逸脱し、違法・無効な制限であることは明らかであると説明する。また、曜日による制限も、その理由を具体的な事実関係にもとづいて検討したうえで実施しなければ、違法・無効な条例となる恐れがあるとの意見を述べている。

例えば、民泊新法では、条例による民泊事業の区域や期間の制限を設ける際には、「住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるとき」に「合理的に必要と認められる限度において」「生活環境の悪化防止のために特に必要な場合」に認められるとされていることに言及。

加えて、「180日」という日数制限は、住宅専用地域かどうかに関係なく適用されるものであることを説明。当該地域にて単に「住居専用地域であって静謐な住環境の維持が求められる」という理由での制限は、法律の委任の範囲を超える結果になり、特段の理由が必要であると解説している。

ガイドライン(住宅宿泊事業法施行要領)でも「条例によって年間すべての期間での民泊事業を一律に制限することなどは、同法の目的を逸脱するものであって『適切ではない』」と示されていることを補足。都道府県や保健所を設置する市・特別区域での条例案の策定に際し、慎重かつ十分な議論を求めている。

意見書の原文は以下から参照できる。

シェアリングエコノミー協会

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