豪華客船クイーン・エリザベス、2020年の日本発着を倍増へ、オリンピックイヤーの高需要で舞鶴など5港に初寄港

英国のクルーズ客船会社キュナードは、豪華客船クリーン・エリザベス(QE)(乗客定員2092名)による日本発着クルーズについて、オリンピックイヤーである2020年は前年の倍となる4コース・延べ35日間を運航することを発表した。

これについてキュナード・ライン ジャパン代表の児島得正氏は、日本市場の堅調な推移に加え、海外の需要の強さにあることを説明。もともと英国の歴史と文化を受け継ぐQEは、日本でも圧倒的な人気が高い外航客船の筆頭で、キュナードでは2017年からQEの日本発着クルーズを開始。来年の2019年には、日本市場をターゲットに横浜発着で2本の日本発着クルーズを設定し、すでに約8割が販売済みだ。

この状況を受け、本社に日本発着の増加を働きかけたところ、本社からも2020年東京オリンピックで注目が高まる日本への需要が高いことから、増加を決めた。英国をはじめとする欧州や米国、豪州などからQEで日本を訪れ、「クルーズをしながら美しい自然を楽しみたい」という要望が強いという。

児島氏は「本当は4本でも足りないくらいだと思うが、QEは世界各地に配船するためこれが限界だろう」とも語った。ただし、日本発着の4本はQEの発着港として決して少ない設定数ではなく、例えばアラスカクルーズは4本、カナダでは2本、アジアでは日本が最多だという。

「まさに日本にフォーカスをしたクルーズ。日本はソースマーケットとしても、デスティネーションとしても魅力ある場所ということ」と児島氏は話す。2020年も日本市場で全体の7~8割の集客を想定するが、「海外の需要が予想よりも強くなれば日本が6割になることもあり得る」とも見る。

設定日は、4月11日発、4月20日発、5月6日発がそれぞれ9泊10日のコース、ゴールデンウィークの4月29日発は7泊8日のコースで、ゴールデンウィークは日本市場の集客が8割になるとみる。コースはそれぞれ異なり、寄港地はこれまでで人気の高い寄港地を中心に、初寄港の5港(油津、清水、福岡、舞鶴、小樽)も組み込んだ。日本発着のほか、その前後にあたるシドニー/横浜33泊34日や横浜/バンクーバー19泊20日も販売。日本では近郊のアジア都市から乗船するクルーズも人気で、2020年はシドニー/横浜で途中のシンガポールと香港から日本へ行く区間クルーズの販売も考えているという。

クルーズ代金はコースによって異なるが、9泊10日が16.8万円~、ゴールデンウィークの7泊8日でも14.5万円~(いずれも内側)の設定。上級客室カテゴリーのペントハウスとプリンセススイートは、日本人が利用しやすいようにチップ込みの料金設定とした。2020年の日本発着クルーズは、2018年7月2日に日本市場限定で販売開始する予定だ。

(左2番目から)キュナード・ライン ボブ・ディクソン インターナショナル・セールス・ディレクター、林 文子横浜市長、国土交通省 菊地 身智雄港湾局長、児島 得正キュナード・ラインジャパン代表

2019年の横浜発着は大黒ふ頭・新ターミナルのグランドオープンとともに

記者会見は駐日英国大使公邸で行なわれ、駐日英国首席公使のデイヴィッド・エリス氏と国土交通省港湾局長の菊地身智雄氏、横浜市長の林文子氏も臨席。エリス氏は英国の伝統的ブランドであるキュナードのQEが、本格的な日本発着クルーズの就航に喜びを示し、菊地氏は2020年の日本発着クルーズで国内計14港に寄港することに言及。「文化や歴史、食など地域の誇る魅力に触れ、地域の人々と交流していただくことで地方創生に繋がる」と、クルーズの力に期待を示した。

林氏は、2019年に続き、2020年の日本発着クルーズも横浜発着で行なわれることに「喜びであり、大きなチャンスを得た」と感謝の意を示した。現在、横浜市では貨物港である大黒ふ頭に大型客船向けのターミナルを建設中で、2019年のQEの横浜発着クルーズでグランドオープンすることを発表した。

横浜市では2019年のラグビーワールドカップでは決勝戦を含む8試合を開催し、2020年の東京オリンピックでは英国代表のキャンプ地として迎え入れることも説明。英国との縁の深さを強調しつつ、「QEの旅客が前後に横浜を楽しめるよう、観光地の魅力づくりも強化している」とアピールした。

記事:山田紀子

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