日本人のデジタル顧客体験2018、アクセンチュアが「スマートスピーカー」や「自動運転」など4分野の可能性を分析

アクセンチュアは、世界19か国で実施した「2018年デジタル消費者調査」の結果をもとに、日本市場にフォーカスした分析をとりまとめた。デジタルとリアルの融合が進む社会で消費者が期待する体験やテクノロジーを「4つのキートレンド」として整理。日本における3つの新たな市場機会を提起したもの。

ここでキートレンドに挙げられたのは、(1)スマートスピーカーによるデジタルとリアルを融合した新しい顧客体験、(2)シンプルで魅力的なオンデマンド動画体験への期待、(3)自動運転への興味、(4)拡張現実や仮想現実(AR/VR)体験への高い関心、の4点。

例えば「スマートスピーカー」関連では、中国、インド、アメリカ、ブラジル、メキシコの5か国では2018年末までにオンライン人口の3割以上が「所有済み、または所有予定」と回答。日本ではまだ他国に比べ約半分程度の数値となっているが、それでも今後の普及拡大が見込まれる。さらに、スマートスピーカー所有者の66%が「スマートスピーカーを購入してからスマートフォンの使用頻度が減った」(強く同意、同意、の合計)と回答。用途別ではエンターテイメントサービス利用やオンラインショッピング、検索行為について、スマホの利用頻度が減ったと回答した。

アクセンチュア:報道資料より

こういった状況から同レポートでは、スマートスピーカーはコンテンツやサービスプロバイダーへの新たなサービスや収益源の創出機会につながる可能性があると分析。企業にとって重要なのは、消費者とデバイスのエンゲージメントを維持できるよう、デジタルとリアルの体験を融合できるアプリ開発が必須だと解説している。

一方、「オンデマンド動画体験への期待」では、ユーザーがテレビを含め複数の動画サービスを併用することに疲れている傾向が判明。ただし日本ではコンテンツに料金を払うことに抵抗がある傾向も見受けられたという。

「自動運転への興味」では、日本人消費者が考える自動運転車のメリットは「ルート最適化」(50%)、「エンターエンターテイメント性」(38%)、「乗車時間の有効活用」(36%)、「安全性」(34%)など。世界のオンライン消費者の半数以上が安全性に不安を感じている状況に対し、日本人はむしろ安全に対する期待を感じている様子が明らかになった。

また、「AR/VR体験への関心」に関する世界の調査では、ゲームではなく日常生活の中での実用化に関心を持っている。具体的には、「(AR/VRを使って)訪問先について詳しく知りたい」(67%)、「新たなスキルや技術の習得に使いたい」(57%)、「3Dマニュアルを利用したい」(58%)、「洋服の試着に使いたい」(52%)などの回答が上位を占めた。

同レポートではこれらのトレンド分析結果より、新たに創出される市場機会として以下3点を提起。企業が新たなサービスやコンテンツ開発をおこなう際に重要なポイントになると解説している。

  • リアルとデジタル体験の融合がより加速する。顧客体験をデザインする際には、リアルとデジタル体験の融合から新たな顧客接点を構築し、その接点を充実しなければならない。
  • 消費者は「自分に合ったサービス」に関する関心が高い。競争対象は、機能の差別化から、サービスのパーソナライズ化に移行する。
  • 消費者にとって「求めるものとお金をかけるもの」のかい離が一層広がる。そのため、企業側はサービス提供と多様な収益化の方法を丁寧に設計しなければならない。

このデジタル消費者調査は、2017年10月から11月にかけて19か国(日本、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、オランダ、イタリア、メキシコ、ポーランド、シンガポール、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、アラブ首長国連邦、英国、米国)で実施したもの。回答者の年齢は14歳から65歳まで。合計サンプル数は2万1000人。

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