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トリップアドバイザー、日本の「タビナカ体験」獲得に本腰、商品掲載は無料、リスクゼロで世界中に販売、24時間コールセンターも

現地体験アクティビティーの予約や観光施設のチケット販売を手がけるプラットフォーム「トリップアドバイザー・エクスペリエンス(TripAdvisor Experiences)」は、日本でのサプライヤー獲得を本格化する。7月24日には、新たに日本語版の登録ページを開設したほか、近日中には東京に日本市場専属のアカウントマネージャーを置く予定だ。

トリップアドバイザー・エクスペリエンスは、トリップアドバイザー傘下の「ビアター(Viator)」をB2B向けにブランド名を変更したもの。B2C向けには引き続きビアターのブランドでサービスを展開する。

このほど開催された「インバウンドセミナー」で、トリップアドバイザー・エクスペリエンス東アジア/南アジア担当リージョナルマネージャーのティナ・リン氏は、トリップアドバイザー・エクスペリエンスのメリットについて説明。まず、毎月4億人以上のアクセス、6億件以上のクチコミがあるトリップアドバイザーから直接予約することが可能なことから、世界中の旅行者にリーチできる点を挙げた。

また、アカウント登録や商品掲載が無料でき、返金なしのキャンセル規定の設定も可能なほか、クレジットカード手数料、為替手数料、海外送金手数料もトリップアドバイザー・エクスペリエンスが負担することから、「リスクゼロで世界中にオンライン販売できる」と強調した。

さらに、ラスベガスとフィリピンに24時間体制のコールセンターを設置。日本語を含めた多言語でユーザーだけでなくサプライヤーからの相談も受け付けていることも付け加えた。

東アジア/南アジア担当リージョナルマネージャーのティナ・リン氏

現在、トリップアドバイザー・エクスペリエンスに掲載されている世界の現地アクティビティーは約12万5000件。ただ、「日本は昨年上半期から掲載を始めたため、まだ件数は少ない」という。今後、2020年の東京オリンピック/パラリンピック以降も日本のインバウンド市場は拡大すると見込まれていることから、掲載数の増加を目指す。そのプロモーションの一環として、通常のコミッション率を今年に限ってはサプライヤー側との相談で柔軟に設定していく考えだ。

APACリージョナル・ディレクターのバイディ・リー氏は、現在のところ体験予約のオンライン予約は世界で11%ほどに過ぎないというデータを紹介し、「トリップアドバイザー・エクスペリエンスには大きなチャンスがある」とアピール。特に、タビナカの予約の85%がモバイルで行われ、30%が滞在ホテルで「近くでできること」を検索していることから、「モバイルでの体験予約は今後さらに伸びていく」とした。

また、施設側には販売を伸ばす工夫も必要と指摘し、チケットだけを単純に販売するだけでなく、付加価値をつけたユニークなツアーを造成することも推奨した。たとえば、ニューヨークのメトロポリタン美術館では閉館後の特別ツアーを造成。イギリスのサッカーチーム「マンチェスターシティ」は、選手のロッカールームなどを見学できるバックステージツアーを造ったところ、高額にもかかわらず売れ行きは好調だという。

APACリージョナル・ディレクターのバイディ・リー氏

このほか、B2Bの取り組みでは、現在3500社以上の企業とパートナーシップを組み、「独自のエコシステムをつくっている」と話す。たとえば、カンタス航空の旅行商品カンタスホリデーのホームページでは秋葉原の「ふくろうカフェ」の予約動線で協業するなど、B2B2Cのアプローチでも体験サプライヤーの販路拡大に貢献していく考えを示した。

2017年にトリップアドバイザー上で日本の情報にアクセスした件数は前年比23%増となり、訪日外国人旅行者数の増加率19.3%を上回った。「世界中で日本の魅力が高まっており、トリップアドバイザーにとっても戦略的に重要な市場になっている。日本には優れた体験が多いが、オンライン上でどのように発見してもらうかが大きな課題。2020年、そしてそれ以降に向けて、日本のサプライヤーの拡充に力を入れていきたい」とリー氏は意欲を示した。

セミナーには自治体や観光施設が集まった。