経済同友会、民泊新法への意見とりまとめ、「過剰な規制の見直し」を提言

経済同友会の「新産業革命と規制・法制改革委員会」はこのほど、住宅宿泊事業法(民泊新法)に関する意見を公開した。

新法が施行された6月15日で届け出数が3728件(うち受理済件数は2210件)、9月28日時点でも同9607件(うち受理済件数は8199件)となっているなど民泊市場が低調な水準で推移している状況を受け、その課題と提案をまとめたもの。

解決すべきは「規制の問題」と「手続き面」

委員会ではこの状況の背景として、民泊新法や自治体の条例などによる規制の問題と、届け出手続きの煩雑さ、オンライン化の不徹底などがあると指摘。インターネットを介して成長してきたシェアリングエコノミーの特徴であるCtoC事業に適したビジネスモデルになっていないとして、「このままでは過剰な規制が事業者の撤退を加速し、民泊の発展を阻害しかねない」との懸念を示している。

その解決には、まずは観光庁が民泊に関する規制の「大きなデザイン」をおこない、ステークホルダー(住宅宿泊事業者、管理業者、仲介業者、宿泊者、地域住民、地方自治体、ホテル・旅館業者)の事業全体が最適化される規制モデルが重要であると解説。そのうえで、自治体が民泊の魅力や効果を地域経済活性化やグローバル化につなげる戦略に落とし込むなど、地域に応じた規制の「カスタマイズ」が必要だと述べている。

新法見直し案:「年間日数の上限」「消防法の適用」などの緩和を

さらに同文書では、民泊新法の見直しに向け、(1)住民にとって安心・安全な民泊を行う事業者の責任を前提に規制改革を、(2)家主居住型及びそれに準じる住宅における民泊の規制は抜本的に見直す、の2点を軸に展開する必要があると提言。

民泊事業はCtoCのビジネスであるとして、業法ではなく住宅提供者(ホスト)のスキルに応じたサービス保証をおこなうことを前提とした法規制へと見直す必要があること、画一的に規制する「年間提供日数(180日)」という上限を撤廃すべきであること、民泊を行う住宅の防火・延焼防止の責任は家主にあることを明確にしたうえで、消防法の適用の緩和が必要であるとする。

また、現在は地方自治体が条例を設け、民泊事業の実施可能区域・期限を制限しているが、そうではなく、基本的な規制は法律の範囲内とすべき。地方自治体による条例の規制は必要最低限にし、法律より厳しい「上乗せ規制」を抑制することが望ましいとの見解を述べている。

なお、届け出に関するシステム面では、届出手続きの簡素化・共通化・原則オンライン化に加え、届出番号の真正性を確認するには、地方自治体と民泊仲介業者のシステム連携が必要であるとの指摘もおこなっている。

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