JTB中間決算は9年ぶり赤字、自然災害の直前キャンセルが影響、グローバル事業は増収の底支えに ー2018年度中間期

JTBが発表した2019年3月期第2四半期連結業績(2018年4月1日~9月30日)は、売上高が前年比4.4%増の6867億円、営業利益が80.5%減の14億円、経常利益が56.1%減の43億円で、四半期純損益は11億円の赤字となった。中間期の赤字決算は2009年以来のこと。※写真は右が常務取締役経営戦略本部長の金子和彦氏、左が取締役財務長の小林高広氏

取締役財務部長の小林高広氏は減益の要因について「大きく2点」と述べ、最大需要期である夏期の自然災害の影響と、欧州を中心とする海外M&Aに伴う構造改革の一時的な経費増大によるものと説明。

特に豪雨、台風、地震と広範囲で様々な災害に見舞われた当期は、直接的な影響と判断する直前キャンセル(取消料が発生するキャンセル)で国内旅行は約60億円、海外旅行でも関空閉鎖を含め約11億円の影響があった。取消料発生前のキャンセルを含めると、国内・海外旅行で約110億円分の影響と推測し、営業利益への影響は約15億円と見込む。

この結果、国内旅行の売上高は前期比228億円減の2659億円、セグメント別では個人旅行が145億円減の3517億円で、減収となった。

一方、増収となったのは、海外旅行(165億円増の2429億円)とグローバル事業(234億円増の545億円)。海外視察や出張などの法人事業が堅調に推移した。なかでもグローバル事業は海外M&A効果で205億円増加したといい、海外発海外受けのグローバルインバウンドとアウトバウンドともに好調。国内旅行のマイナス分を補い、全体の増収の底支えとなった。

このほか、法人事業では成長促進事業として位置付ける地域交流事業が46%増、MICEなどのコミュニケーション事業が13%増で、当期計画をそれぞれ上回る推移となっている。今後も、JTBが目指すソリューションビジネスへの転換に向け、地域課題や企業の顧客課題、業界課題、社会課題などの解決に資するビジネスモデルの構築に取り組み、特に地域交流事業では自治体やDMO等のパートナーとしての地位を確立していく方針だ。

訪日旅行は、前年に数件受注した大型団体の反動減で、22億円減の330億円。パッケージツアーのサンライズツアーは地震による催行中止の影響で取扱額ベースが2.4%減となったが、個人旅行向けウェブ販売ブランドのジャパニカンは15.1%増で影響はなかった。

下期については、上向き基調を見込む。個人事業は顧客・商品戦略の再構築効果に加え、復興支援関連商品の取り扱いも取り込みができつつある。法人事業は引き続き堅調で、自然災害で発生した時期、方面の変更等を含め、一定程度の取り込みが可能だと捉える。グローバル事業は海外M&Aの経営改革の効果が発生すると述べ、全体の数値への貢献が見込めると期待を示した。ただし、通期の具体的な見通しは公表を控えた。

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