2019年はどんな年? 旅行・観光ビジネスで知っておきたい「年間予定の一覧」からトレンドまで一挙紹介

JTBの「2019年の旅行動向見通し」で、2019年は国内旅行、海外旅行、訪日旅行ともにプラス推移を予想。特に海外旅行では初の1900万人超えの予測となり、2ケタ増が続く訪日外国人と日本人の双方の需要で、旅行市場を活気づかせていきそうだ。

東京オリンピック開催、そして訪日外国人4000万人など、日本の観光政策で各種目標を定める2020年に向け、2019年はどのような年になるのか。旅行市場に影響するトレンドや年間予定を、JTBの発表資料でまとめてみた。

GW10連休で祝日増加、休みの日並びも良好

2019年は、旅行市場に影響する特別な出来事がある年だ。その1つは何といっても、2019年限りの祝日ができること。新天皇陛下の即位関連の行事に伴い、即位・改元の5月1日(水)と、10月22日(火)を祝日扱いとする法律が成立した。

これにより、2019年のゴールデンウィークは10連休に。すでに、海外旅行では欧州など長距離方面のパッケージツアーなどで、前年を上回る予約が入っている旅行会社もあり、海外旅行の活況を盛り上げていきそうだ。

さらに、ゴールデンウィークを除いた週末の3連休は、2018年同様に8回ある。特に夏期休暇の時期は8月10日(日)の山の日のお盆時期に加え、9月16日(月)の敬老の日、9月23日(月)の秋分の日がそれぞれ3連休になるので、夏休みをずらして旅行するレイトサマー需要も想定される。また、年末年始は最長9日間の連続休暇だ。2019年は旅行に行きやすい日並びも、旅行意欲を高める一助になりそうだ。

「出国税」「消費増税」がスタート

一方、2019年には国際観光旅客税(出国税)の徴収が開始。10月には消費税が8%から10%への引き上げも予定されている。出国税は1月7日の航空券発券分から、1人あたり1000円をオンチケット方式で徴収。消費税増税は食料品など一部を除く生活全般の購買に関わるもので、当然国内で購買する旅行商品も対象となる。

課税や増税は、上向き基調にある旅行需要に水を差すと思われるが、JTBでは出国税に関しては影響は少ないと予想。消費税も2019年中は大きく影響しないと見ている。

ただしJTBでは、2014年4月の消費増税(5%から8%)の時には、その2か月後から冬期まで前年割れが続いたと指摘。今回の増税には、食料品などへの軽減税率の設定やプレミアム商品券などの負担削減策が検討されているが、増税後の需要をどう喚起し、保っていくか、今後のさらなる盛り上がりに向け、旅行業界としても検討と対策が必要になるだろう。

ラグビーW杯初開催 -世界的ビッグイベント開催の初年度に

2019年で忘れてはならないのが、世界的大型イベントが続く幕開けの年であるということ。今年のラグビーワールドカップ2019日本大会を皮切りに、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2021年にはワールドマスターズゲームズ2021関西が開催。先ごろには、2025年に大阪万博の開催も決定した。今後、日本に対する世界の注目がますます高まることは必須だが、その流れがいよいよ今年のラグビーワールカップからスタートすることになる。

なかでも、今年のラグビーワールドカップは日本各地12都市で開催されることから、世界に向けた日本の地域のショーケースとしての役割も期待される。スポーツ大会は予め、出場国と訪問する場合の日程が分かっているため、ターゲットを絞ったプロモーションがしやすい。訪日旅行のリピーター化に伴い、地方への旅行がじわじわと広がっているなか、開催地域と連動し、周辺観光を含む積極的な誘致活動でチャンスをつかんでいきたい。

タビナカ観光の本格化、新たな旅行購買や旅行体験の浸透も

このほかJTBの見通しでは、この数年、注目度が増していた旅先での体験、「タビナカ観光」が花開く予感にも言及。専門ガイドによる本格ツアーから現地の生活体験など、各地域のDMOなどが商品化に力を入れている。OTAやメタサーチなども、タビナカ商品の扱いを強化しており、流通環境も整う。現地の人が案内するマッチングサイトなども、躊躇なく利用する旅行者も増えている。

これに加え、AI(人工知能)やVR(バーチャルリアリティ)などの新テクノロジーも、観光体験はもちろん、予約サービスでも活用されている。新規参入のプレイヤーが新たなテクノロジーや概念で持ち込んだ旅行販売の手法や旅行体験が市場に浸透し、観光の多様化が進みそうだ。それは今まで旅行に関心のなかった客層を、振り向かせるきっかけにもなりうる。

2018年は豪雨や台風、地震など多くの災害が発生し、多くの地域が痛手を受けた。2019年は明るい見通しのもと、災害からのV字回復を期待したい。

【2019年 旅行・観光に関わる予定一覧】

  • 2019年の連休

    • ゴールデンウィーク:4月27日~5月6日の10連休
    • 夏期休暇:8月の山の日、9月の敬老の日、秋分の日はいずれも週末3連休
    • 3連休の回数:ゴールデンウィーク除き8回
    • 年末年始:12月28日~1月5日の最大9連休
    • 参考:中国の大型連休の春節は2月4日~2月10日、国慶節は10月1日~10月7日
  • 周年記念

    • 日本/オーストリア友好150周年
    • 日本/ハンガリー友好150周年
  • 年間予定

    • 1月7日:天皇陛下即位30年
    • 1月7日:国際観光振興税(出国税)徴収開始(同日発券分から)
    • 2月23日:「クールジャパンパーク大阪」開業(大阪城公園内)
    • 2月24日:天皇陛下在位30年記念式典
    • 3月16日:「ムーミンパーク」オープン(埼玉県飯能市)
    • 4月30日:退位礼正殿の儀
    • 5月1日:新天皇陛下即位、新元号へ(2019年限りの祝日)
    • 6月28日~29日:G20 首脳会議(大阪)
    • 6月下旬:G20財務省・中央銀行総裁会議(福岡)
    • 7月27日~8月20日:南部九州総体(インターハイ)
    • 9月12日:「The Okura Tokyo」(旧ホテルオークラ東京本館)開業
    • 9月20日~11月2日:「ラグビーワールドカップ2019日本大会」
    • 9月28日~10月8日:第74回国民体育いきいき茨城ゆめ国体
    • 10月1日:消費税8%引き上げ
    • 10月12日~14日:第19回全国障碍者スポーツ大会いきいき茨城ゆめ国体
    • 10月22日:即位礼正殿の儀 祝賀御列の儀(2019年限りの祝日)
    • 11月下旬:新国立競技場完成
    • 12月下旬:アクアティクスセンター竣工
    • その他2019年中
      • 春:みなとみらい新旅客ターミナルオープン
      • 春:ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに新エンターテイメント「ワールド・ストリート・フェスティバル」オープン
      • 夏:東京ディズニーシーに新アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」オープン
      • 秋:「東急プラザ渋谷」跡地など渋谷再開発地区の新ビル群開業予定
      • 2019年中:中部国際空港にLCC新ターミナル開業予定

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