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タイ国政府観光庁、「持続可能な観光開発」に取組み強化、ホテル協会と連携や住民重視の地方誘客で

タイ国政府観光庁(TAT)が推進しているプラスチック廃棄物の削減運動に、このほどタイ・ホテル協会(THA)が参画することを決めた。※写真左から、THA会長のSupawan Tanomkieatipume氏、TAT総裁Yuthasak Supasorn氏、THA環境委員会副会長兼委員長Marisa Sukosol Nunbhakdi氏

タイ国政府観光庁では、ホテル各社によるプラスチック製品のリサイクル利用を促すと同時に、こうした取り組みを行うホテルを旅行会社、ツアー催行会社、OTAが支援するようなキャンペーンを各種、実施していく計画だ。

タイ国政府観光庁総裁のYuthasak Supasorn氏は「ホテル協会と緊密に連携しながら、プロジェクトを進めていく。タイを訪れるゲストに、プラスチックごみへの問題意識を促す一方で、日々の業務の中から出るプラスチック廃棄物の削減を進める。ホテル業界は、この両方で需要な役割を果たす」と声明を発表している。

参画するホテル向けのガイドラインは、以下の12項目となる。

  1. バスルームのアメニティに使用しているプラスチックのパッケージを減らす。
  2. 客室に設置しているビニール袋を減らす(ランドリーやごみ箱など)
  3. 容器などの素材には、生物分解性のある地元産品を活用する。
  4. プラスチックのボトルを減らし、代わりに再利用できる容器を利用する。特に会議やセミナーなどの場で、この点に留意する。
  5. プラスチックのストローを使用しない。
  6. 会議やセミナーの休憩タイムは、セルフサービスでコーヒーやお茶を提供するコーナーを設ける。
  7. 食べ物や飲み物の容器に使うプラスチック容器は、一度しか使えないものは避ける。
  8. ホテルに隣接したビーチでは、ゴミ捨て場での分別を行う。
  9. 会議や結婚式での利用客向けに「プラスチック対策」のランク付けを行い、持続可能性を意識してもらう。
  10. ホテル内でのゴミ分別を行う。
  11. ホテル内のあらゆる部署で、プラスチックごみの削減に取り組む。
  12. 宿泊客、あらゆる利用客、取引先クライアント、提携先企業に「反プラスチック革命」への参画をよびかける。

 

持続可能な観光開発へ、重要なのは「コミュニティ」の同意

先ごろ来日したチャッタン・クンチョーン・アユタヤー副総裁は、メディア懇親会時にこの仕組みについて言及。観光産業にとって、オーバーツーリズム対策を含む持続可能な観光開発が急務であり、観光地のコンディションを整えることが重要であるという認識を改めて示した。

それを実現させるための方策として、副総裁はコミュニティ(地域住人)の重要性を指摘。同庁では、地域コミュニティに対しては、観光客が本当に必要か、どのような訪問者を求めるかなどのヒヤリングや話し合いを十分行っているのだという。

タイ国政府観光庁では、国内の観光周遊をうながすために「12の秘宝」と題し、あまり知られていない地方部12県のプロモーションしている。この12県は、タイ全域にわたり、大都市部とは異なる豊かな自然や古くからの文化遺産を擁する地域だ。バンコクなどと違い、観光客慣れしていない人々も多いと考えられるが、これらすべての地域としっかりと話し合いを持ったうえでプロモーションを開始しているという。

そのため、副総裁はこの12県では「受け入れの体制が万全」と自信をみせた。「国立公園やビーチなどと同じく、観光で旅行者が訪れる『地域』にはキャパシティがある」として、そのバランスをとるためには、住民との協調が欠かせないとの考えだ。

なお、メディア懇親会では、副総裁がタイの地方への誘客のために、バンコクに集中する日本からの直行便を「地方路線を誘致したい」考えにも言及した。2018年の日本からタイへの旅行者数は、前年から約1割増となる約160万人。タイからの訪日客も増加を続けており、日タイ間の旅行需要が拡大している。こうした中、日本とタイを結ぶ新たな路線の開設が望ましいとの考えで、有力な候補としてチェンマイなどを挙げ、航空会社らにも働きかけを行っていることを明らかにした。

左:パッタラアノン・ナチェンマイ東京事務所長/右:チャッタン・クンチョーン・アユタヤー副総裁