トラベルポート、新たな航空流通規格「NDC」の本格展開へ、旅行会社と航空会社との接続を加速

トラベルポートCCOのステファン・シャロック氏は、同社が現在推進している国際航空運送協会(IATA)の新航空流通規格「NDC(New Distribution Capability)」について、2019年のロードマップを策定した。

トラベルポートは、2018年10月に、はじめてGDS経由のNDC予約を開始。その後、「トラベルポート・スマートポイント」を通じて、NDCコンテンツにアクセスする世界の先駆的な旅行会社と連携を進めてきた。シャロック氏は、「今後、すべての人に対してNDCをしっかりと機能させることを約束する。」とコメント。トラベルポートは、2019年に入り、これまでの初期の実装段階から、NDCコンテンツの本格提供へと移行。今後さらに進化を進めていく方針だ。

NDC普及に向けた4つの重点ポイント

トラベルポートCCO ステファン・シャロック氏

同社はNDCコンテンツの本格提供に移行するにあたり、2019年に同社が重視する以下の4つのポイントを挙げている。

1. コンテンツをベースとした旅行選択肢の提供

シャロック氏は、「多くの点で、NDCはこれまでトラベルポートが提供してきたソリューションの最新バージョンと言える。トラベルポートは、サプライヤーとの接続方法がなんであれ、予約可能な関連するコンテンツを通じて、カスタマーに多くの選択肢を提供してきた」と強調。トラベルポートは現在、航空会社5社のNDCコンテンツをプラットフォーム上に展開しているが、2019年中にはさらに多くの航空会社が参加する予定。そのうち数社では、今後、数ヶ月以内にプラットフォームにそれぞれのNDCコンテンツを展開する見込みだ。

2. 適切なテクノロジーで最適なパフォーマンスを実現

NDCは、過去30年から40年にわたって稼働してきたテクノロジーシステムの最新版。トラベルポート設計チームのストゥー・ワルドローン氏は、NDC時代に向けた準備を「地中で行われている配管工事」と表現している。シャロック氏は「今後、30年、40年と旅行業界にサービスを提供していくための適切なインフラを構築できる」と自信を示す。

トラベルポートは、昨年、顧客に提供するサービス向上に向けて、開発中のプロダクトに顧客が重要とするニーズを反映させる「大規模アジャイル開発フレームワーク: Scaled Agile Framework(SAFe)」を導入。生産部門の実行・戦略・開発の一体化を進める手法で、NDC実装と次世代プロダクトを構築するための意見を顧客から収集し、それをプロダクト開発チームにフィードバックしているところだ。

3. 旅行会社が使い慣れた方法でワークフローをサポート

旅行会社にとって、NDCコンテンツの予約は、従来のワークフローとは異なる。しかし、トラベルポートが提供するNDCコンテンツは、「トラベルポート・スマートポイント」上で展開されるため、旅行会社は従来どおりのワークフローで、ATPCoコンテンツと組み合わせたNDCコンテンツの予約も可能。予約の選択肢が広がることになる。

トラベルポートでは、2019年を通じて「トラベルポート・スマートポイント」上でアクセス可能なNDCコンテンツを拡大させていく方針で、今年後半には、NDC APIサービスの提供も開始する計画だ。

4. NDC普及を牽引

シャロック氏は、「2019年も、新しい流通についての議論を牽引していくことを約束する。2019年に行われる旅行業界向けのイベントでも積極的にNDCについての議論を進めていき、我々のカスタマーやサイト運営者、そして旅行業界全体向けてNDCを継続的に提供していく。カスタマーには、NDCへのアクセスについて話し合うために、各地域のトラベルポート・オフィスを訪れてほしい。我々はできるだけ多くの旅行会社と直接お会いできることを楽しみにしている」と意気込みを示す。

2019年は日本市場でもNDCを積極展開

シャロック氏の発表を受けて、トラベルポートジャパン代表取締役社長の東海林治氏は日本市場に向けたコメントを発表。「トラベルポートは旅行会社に流通手段を提供する立場として、すでに世界の旅行会社ともに最善のプロダクト、ソリューションを提供するべく取り組んでいる。今後の航空座席流通においてはNDCへの対応が必須となっていくが、一足飛びにNDC流通が主流になることはない。多様化する流通手段の中で、トラベルポートのプラットフォーム(GDS)を利用してもらうことで、従来のGDSコンテンツ、NDCコンテンツ、その他のAPI接続からのコンテンツを、これまでのワークフローを変えることなく旅行会社にワンストップで効率的に利用できるように開発を重ねているところだ」とし、2019年中には日本市場でもさらに具体的な形でNDCを提供していく方針を示した。

こうした活動で、同社はIATAが掲げる目標「202020 (2020年末までにはNDC認証を受けた航空会社20社が取り扱う全流通のうち20%がNDCのAPI接続を通じた予約)」に向けた活動を推進していく考えだ。

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