世界15カ国で「観光に対する意識調査」を実施、「地域への恩恵を望む」が65% 、 国連世界観光機関

国連世界観光機関(UNWTO)と調査会社IPSOSはこのほど、都市部の住民の観光に対する意識調査の結果をまとめた。日本を含む世界15カ国の1万2000人を対象としたもの。都市で暮らす市民の視点から見たツーリズム像やその影響を把握し、マネジメント戦略に役立てることが狙い。

同調査によると、全体の47%が「自分は観光客が多い街に住んでいる」と回答。ただしオーストラリアの回答者では68%、フランスでは同33%となるなど、国による違いも見られた。

観光が都市にもたらす恩恵については、全体の50%以上が「ポジティブなインパクトがある」と回答。具体的には、収入の増加や異文化交流、新しいレジャーアクティビティの登場などが挙がった。中でもアルゼンチン、オーストラリア、韓国、スペイン、スウェーデンでは観光のポジティブな効果に対する認識が高かった。

しかし一方で、回答者の46%はツーリズムが「過剰な混雑の原因になっている」、49%は「観光マネジメント手法の改善が必要だ」と考えていることも明らかに。ここでも国によって回答にはばらつきがあり、アルゼンチンでは75%、日本はわずか24%だった。

「観光マネジメント手法の改善が必要」との回答状況:UNWTO発表資料より

観光マネジメント対策については、「インフラや施設の整備」(回答者の72%)、「観光客と居住者の両方が楽しめる体験やアトラクション」(同71%)への支持が大きかった。そのほか、「地元コミュニティに観光の恩恵が及ぶようにする」(65%)など。

観光客の人数を制限することに賛同した回答者は、全体の12%。観光プロモーションを中止するべきとの回答は同9%にとどまった。

UNWTOのズラブ・ポロリカシュヴィリ事務局長は、これからのツーリズムの在り方について、「旅行者と居住者のどちらにも恩恵があるよう適切にマネジメントすること、地元コミュニティの声に耳を傾けることが重要」とコメント。現代の都市が抱える諸問題解決にもつながるようなアーバン・ツーリズム計画策定が必要だとの考えを示した。

調査時期は2018年12月から2019年1月。調査対象国はアルゼンチン、スペイン、韓国、ポーランド、イタリア、ハンガリー、オーストラリア、スウェーデン、ベルギー、カナダ、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本の15か国。IPSOSは1975年、フランスで創業したグローバルリサーチ企業。UNWTOと共同での調査は今回が初めてとなる。

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