欧州各都市が「民泊エアビー」の法規制に見せた反応は? オーバーツーリズムの観点からも疑心暗鬼の様相に【外電】

Airbnb(エアビーアンドビー)は、ここ十年たらずでシェアリングエコノミーのスタートアップから、ホスピタリティ産業の巨大企業に成長してきた。しかし、その成長に規制をかけようとするヨーロッパの主要都市にとっては、頭痛の種にもなっているのも事実だ。

アムステルダム、バルセロナ、ベルリン、ボルドー、ブリュッセル、クラクフ、ミュンヘン、パリ、バレンシア、ウィーンの各都市は、EUに対してエアビーに完全な自由裁量を与えないように要請している。

※この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」に掲載された英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

2019年4月、ヨーロッパ最高裁判所の法務官は、「エアビーは宿泊施設の提供者ではなく、デジタルサービス企業としてみなされるべき」と発言。アムステルダム市議会のウェブサイトで公開された書簡によると、各都市はその裁定には拘束力はないものの、オーバーツーリズムに対する反発が強まっているなか、ヨーロッパにおける将来のエアビーのビジネスを約束するようなものだと主張している。

地方自治体のなかには、この裁定には裏の意味があるのではないと心配しているところも多い。書簡によると、「我々は、この裁定には重大な裏があるのではないかと恐れている。各都市に暮らし、仕事をしている住民にとって必要な住宅が、観光客に貸し出されることによって、今後さらにマーケット化していくだろう。各自治体は、住民のニーズのもとで都市計画や住居対策を実施し、地域の活動を支えてきた。この法務官の発言は、こうした取り組みはインターネットの巨大企業については、もはや不可能と言っているように見える」。

各都市は、新しく選出された議員で構成される欧州議会からの協力を求めており、欧州委員会に対しては、エアビーをそれぞれの地域の規制に従わせる「強力な法的義務」を設けるように要請している。アムステルダム市議会の書簡によると、「エアビーは当局に喜んで協力すると言っているが、実際はそうではなく、そうだとしても、法の元ではなく、単に自発的にしているだけだ」としている。

エアビーは、リスティングの詳しいデータを当局に提示することに消極的とされ、強制的なデータ共有には反対している。エアビーとホームアウェイは2018年、リスティングの詳しい情報の明示を求めるのは憲法違反だとしてニューヨーク市を訴えた。

2019年1月には、裁判所はこの主張に同意。それに対し、ヨーロッパの各都市は、「透明性の欠如は、法執行に支障をきたす。たとえば、バケーションレンタルとして貸し出される部屋の年間日数制限などを管理することができなくなる」と主張している。

エアビーはスキフトに対して以下のようなコメントを出している。「法務官の見解は、エアビーなどの統合型プラットフォームに適用される法規制を明らかにしている。その法規制は消費者にとってさまざまな機会を生み出すものだと考えている。一方で、我々は各都市と良好なパートナー関係を築きたいと考えているし、法令遵守や税金の納付など、ホストがホームシェアリングですべきことについて、すでに世界の500以上の自治体と協業しているところだ。これからもビジネスを進めるにあたって、我々は21世紀の持続化可能な旅行を地方で展開していくためにあらゆる人たちと協業を継続していきたい」。

※この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」に掲載された英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

※オリジナル記事:European Cities Turn to EU for Help in Battle Against Airbnb


著者:ロージー・スピンクス(Rosie Spinks)氏

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