サウスウエスト航空がGDS予約を開始、直販に続く「第3の柱」に、トラベルポートやアマデウスと来年から

サウスウエスト航空は2019年8月、GDSのトラベルポートおよびアマデウス・トラベル・プラットフォームとの間で、自社コンテンツ提供に合意した。航空券の取引決済やレポートにはARC(エアライン・レポーティング・コーポレーション)を利用する。これにより、旅行各社はGDS経由でサウスウエスト航空券の予約や変更、キャンセルができるようになる。

「直販」戦略を掲げ、流通コストを削減することで低価格を実現してきたサウスウエストだが、最近では予約システム拡充などにかかる負担が重荷になりつつあった。こうしたなか、5年前からはアマデウスと技術提携を開始。GDS活用は時間的、コスト的にメリットがあるとの判断へと傾いたようだ。今回の取り組みでは、2020年半ばまでに諸準備を整えたい考え。

一方、サウスウエスト独自の法人向けオンライン予約ツール「SWABIZ」のアップグレードにも引き続き投資していく方針だ。SWABIZでは航空券のほか、レンタカーやホテルの予約、法人顧客向けの出張管理サービスを提供している。

フォーカスワイヤ報道によると、サウスウエスト航空のトム・ニ―ルソン社長が、先ごろ開催されたグローバルビジネストラベル協会会議で、BTN誌の取材に対して今回の経緯について語った。「当社のプロダクトは出張者にとって利用しやすく、運航スケジュールも便利、利用規約や運賃レベルもすばらしい。ところが、予約、購買、決済、そのほか周辺業務の面では扱いにくくなっていた。旅行業界のスタンダードであるGDSでの取扱いは、直販サイトや自社独自の予約プラットフォーム「Swabiz」に続く第3の柱と位置づけている」と話した。

また、サウスウエスト航空では今年7月、ATPCO(航空運賃発行会社)などが開設したNDC対応の流通プラットフォーム「NDCエクスチェンジ」にも参画しており、ここでも、最大の狙いは法人旅行需要の獲得を増やすこととしている。

同社では、2020年以降、流通経路を拡大することにより、ユーザー側の予約手法の選択肢が広がり、主に法人顧客やトラベルマネジメント・カンパニーによる利用が拡大すると期待している。2020年第二四半期の売上ベースで1000万~2000万ドルの増加を見込んでいる。これについて、ニールソン社長は「この数字はむしろ控えめ。もちろん、かなりの勝算があると考えているからこそ、動いた」と話している。

予約システム刷新により、これから視野に入れていることの一つは、他社とのコードシェア運航だ。「ハワイやカリブ海域など、アイランド路線や国際線のシェアも、今では全体の4.5%を占めている。長距離の国際線は当社向きではないが、外国語や外貨対応、海外セールス拠点などの問題をクリアできれば、カナダ、メキシコ、中央アメリカ諸国へ路線を広げ、こうした地域への業務渡航需要も取り込みたい」と意欲を示した。

ニールソン社長は「なぜ今、このタイミングで?」という質問を多く受けたと語る。その理由として、「当社の予約システムは時代遅れの旧式で、業界標準レベルに改良するためには、膨大なお金と時間が必要という状況だった。一方、これまでGDSを実際に利用する機会がないままだったが、GDSの旅客サービスシステムを知り、非常に頼りになると分かった」と説明。今後、同2社以外のGDSとパートナーシップを組む可能性については「とりあえず現状で満足しているが、当社としては、いつでも話を聞く」との考えだ。

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