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全国旅行業協会、二階会長が名誉会長に、新会長は近藤氏、定時総会で選任

全国旅行業協会(ANTA)は2025年6月25日、第61回定時総会を開催し、名誉会長および役員の選任がおこなわれた。30年以上にわたって会長職を務めてきた二階俊博氏が退任し、新たに名誉会長となる。新会長には、現副会長の近藤幸二氏(全観トラベルネットワーク社長)が選任された。

総会冒頭の挨拶で二階氏は、1992年の会長就任時からコロナ禍を経て、観光が力強く回復した歴史を振り返り「会員各社の努力に敬意を表する」と感謝の意を示した。そして、新体制で事業を担う新幹部への協力を呼びかけた。また、観光が平和産業であり、観光による交流が平和の推進につながることを改めて強調。「誇りと自信を胸に、切磋琢磨しながら邁進してほしい」と締めくくった。

ANTA名誉会長に就任する二階俊博氏

新会長に選任された近藤幸二氏(全観トラベルネットワーク)は、これまで副会長として二階氏と活動を共にし、学んだことを今後に活かしていく決意を述べた。さらに、「観光は、自動車産業に次ぐ重要な産業となったが、旅行業の存在感は薄れつつある」と強い危機感を示し、協会として中小の旅行会社の集合体として知恵を出し合いながら活動していくと力を込めた。

新たに会長となる近藤幸二氏

副会長には、新たに村山吉三郎氏(飛鳥旅行)、吉村実氏(歓喜旅行サービス)、松嶋洋氏(九州旅行会)の3名が選任された。

2024年度は収支改善、国家試験のCBT方式化が奏功

総会では、2024年度の事業報告・決算報告および2025年度の事業計画・予算が原案通り承認された。2024年度決算では、ANTAの正味財産(累積黒字)は14.6億円となり、前年に続いて増加した。期中の弁済が少なかったことも大きいという。

ANTAでは、観光庁長官の試験事務代行機関として「国内旅行業務取扱管理者試験」を実施している。同試験は2024年度からCBT方式(Computer Based Testing)を導入。前年度は、申込者が減少し、約5000万円の赤字を計上したが、CBT導入により受験者数が回復。2024年度の申込者数は前年から3000人増加して1万3316人となり、さらに会場費のコストも削減されたことが収支改善の要因のひとつとなった。

観光庁では、同試験の受験料について、従来の5800円から今年度は8000円へと値上げすることを決定している。このことから、ANTAでは2025年度も黒字を見込んでいる。

なお、2024年度のANTA正会員数は5347社。新規入会は205社、退会は232社だった。