英国の市場調査ユーロモニター・インターナショナル社は、このほど日本国内の短期宿泊賃貸(STR=Short Term Rentals)の市場規模について、2025年は5457億円規模に達し、宿泊市場全体に占めるシェアは7.29%になるとの見込みを明らかにした。
同社では、日本におけるSTRをいわゆる民泊と一部の簡易宿所と定義。その簡易宿所には、貸別荘、ゲストハウス、ペンション、山小屋の一部が含まれ、STR全体の6~7割を占める。キッチンや洗濯機など住宅の基本設備が備わっていること、ルームサービスなどのサービスがないことを基準とした(カプセルホテルやホステルは除外)。
日本では、民泊として運営される施設が、年間180日以内の営業日数制限がある住宅宿泊事業法(民泊新法)ではなく、年間を通じて365日営業が可能な旅館業法の簡易宿所として営業されるケースが多く、その実態にあわせた定義づけをおこない、推計した。
なお、90泊を超える滞在はSTR対象外とし、複数のオンライン・プラットフォームに同じ物件が掲載されているケースは重複しないよう調整した。
日本の宿泊市場全体の成長を上回るSTR
同社の推計によると、日本の宿泊市場は2023年時点でコロナ前の2019年を超え、以降も拡大を続けている。2025年は前年比11.4%増の7兆4803億7010万円と予測しており、2019年比では63.2%増となる見込み。
これを上回る勢いで成長しているのがSTR市場で、ユーロモニターでは、2025年は5456億5980万円に達すると予測。2019年比では67.3%増、前年比では12.4%増としている。
ただし、日本のSTR市場が宿泊市場全体に占める割合は、2025年で7.29%となる見込みで、「世界の9.6%と比較すると小さい」(ユーロモニター)とも指摘している。STRが日本の宿泊市場に占めるシェアは、2019年以降、常に7%台で推移しており、最も高かったのは2022年の7.36%だった。
2026~2030年の年間平均成長率については、インフレの影響を除外した実質値で、日本のSTR市場は4.4%、宿泊市場全体では3.3%と予測している。
また、日本のSTR市場の9割以上を占める第三者オンライン仲介(エアビーアンドビー、OTAなど)による取扱規模については、2025年は前年比13.0%増の計5049億8960万円、2030年には6519億9820万円に達すると予測した。
これに対し、世界全体でみると、オンライン仲介事業者によるSTR市場は2025年で同6.7%増の1524億6370万ドル(約22兆8695億5500万円)、2030年は1810億5740万ドル(約27兆1586億1000万円)と予測しており、伸び率では、日本が世界を上回るとの見方を示した。
なお、同社の推計は、政府統計から暫定値を算出した推計値をベースに宿泊やSTR業界におけるリーディングプレーヤーへのヒアリング内容を反映するプロセスを複数回繰り返して算出したもの。
※ドル円換算は1ドル150円でトラベルボイス編集部が算出