トラベルボイストラベルボイス | 観光産業ニュース 読者数 No.1

五島列島で新たな観光モデル始動、地元の文化継承者とコンテンツ発掘、潜伏キリシタンの歴史残る島で少人数の対話型ツアー開発へ

写真:宮脇慎太郎

五島観光魅力向上推進協議会はこのほど、世界文化遺産登録後の五島列島で地域固有の文化や信仰を尊重し、持続可能な観光を目指す「ヴァナキュラー・ツーリズム」の取り組みを開始した。土着の歴史や伝統・文化・芸術・自然など、地域に当たり前にあるものの価値を参加者と共有していくツアー体験を提供する。

同協議会が提唱するヴァナキュラー・ツーリズムとは、その土地固有の暮らし、文化、精神性を尊重し、地域の語り手と来訪者が対話を通じて価値を共有する観光のあり方。第1弾として、潜伏キリシタンの歴史が色濃く残る奈留島(なるしま)で、対話型・課題解決型のツアー開発に着手した。地元の継承者と対話し、コンテンツを発掘するほか、長崎県世界遺産課の学芸員や平戸市生月町博物館「島の館」館長などと共同で調査を実施し、少人数のツアーを造成する。 

具体的なプログラムとしては、担い手不足に直面している地域の祭りに参加し、その存続を支援する体験や、前島と末津島の間に干潮時のみ現れる「トンボロ(陸繋砂州)」に漂着した海洋ゴミを清掃しながら、希少な景観を深く味わうエコツアーなどを想定。2026年秋から順次展開する。

また、個人旅行者や研究者・大学研究室などによる奈留島調査旅行のアレンジやコーディネートも手がけ、ツアーの収益等を通じて教会活動や地域コミュニティへの継続的な支援につなげていく考えだ。

同協議会は、世界遺産の島で「祈りと暮らし」を継承する新たな観光モデルの構築を目指している。