サービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合)は、2026年4月8日、2026年の春季生活闘争(春闘)について、3月末日までの中間報告を公表した。サービス連合として6%の改善目標を掲げた賃金改善では78組合が要求書を提出し、このうち21組合が合意。改善率は5.77%(算出可能な組合の加重平均の速報値)となった。2024年から続く過去最高の改善率を、さらに上回る水準で推移しているという。
会長の櫻田あすか氏は、第5次観光立国推進計画で、観光が日本経済の発展をリードする戦略産業と位置づけられたことに触れ、観光の現場で働く者の待遇改善が「観光の支え」であり、「働きに見合った待遇を求めていくことが重要」と強調。他産業との格差是正に加え、「物価上昇が続くなか、暮らし向きの豊かさを実感できる環境を整備することは、労働組合の使命」とも話した。また、賃上げのみならず、労働環境全体の整備にも言及し、待遇改善が観光産業の持続的な発展と社会的地位の向上、人材確保に直結するとの認識を示した。
3月末日までに、何らかの要求書を提出したのは全体の約6割にあたる79組合で、うち29組合がいずれかの項目で合意に至った。一時金については、68組合が要求し、25組合が合意。年間平均は3.1カ月、夏季一時金は1.43カ月(いずれも算出可能な組合の加重平均の速報値)となっている。
今春闘では、賃金改善および一時金の交渉が長引く傾向だが「人への先行投資を訴え、粘り強く交渉をし、それが成果に結びついている」と会長代理の宇髙誠氏は説明する。具体的には、一時金の業績連動分を賃金改善に振り替える工夫がされるなど、労使が前向きに交渉し、合意に至るケースが見られるという。
労働条件関連では、総実労働時間の短縮で8組合が合意。公休数の増加や1日の所定労働時間の短縮、有給休暇の取得推進が進んでいる。今春闘に向け、2000名超の組合員に実施した「健康と労働に関するアンケート調査」で得られた、産業全体の長時間労働の実態を示す客観的なデータが、好影響を及ぼしているとみている。
このほか、ジェンダー平等、多様性・包摂性の実現などでは、「生理休暇」の名称変更とともに更年期障害や不妊治療への適用範囲の拡大や、性別問わず働きやすい環境整備への取り組みが目立つ。従業員の健康管理や外国人労働者の就労環境、カスタマーハラスメント対策などに関する合意も進んでいる。
2026年度の重点政策、観光を「基幹産業」に
サービス連合は春闘の中間報告にあわせ、2026年度の「重点政策」も紹介した。サービス連合では、働く者の立場から産業政策や労働政策、社会政策などに取り組んでおり、人への投資を踏まえたうえで、重要度の高いものを「重点政策」として掲げている。
今年度は、新たに観光産業を「基幹産業」として明確に位置付けるよう求めた。このほか、適正な価格転嫁の推進、長時間労働の是正、従業員のプライバシー保護、育児休業取得率の向上、世界平和に向けた取り組みなどを、重点項目として取り上げた。
サービス連合では今後、重点政策の実現に向けて各政党や省庁や業界団体などに働きかける方針だ。