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SQUEEZE社、東証グロース市場に上場、宿泊テックで成長加速、「IP活用」と「地方創生」を軸に

クラウド型宿泊管理システムやホテル運営などを手がけるSQUEEZE社は、2026年4月22日、東京証券取引所グロース市場へ上場した。証券コードは558A、初値は公開価格を4.5%上回る3250円。

同社は現在、アパートメントホテル「Minn」を中心に全国約40施設のホテルを運営するほか、宿泊事業者向けの次世代オペレーションプラットフォーム「suitebook」など宿泊施設の運営を支援するソリューションの提供をおこなっている。ホテル業界が抱える「人手不足」や「分断されたITシステム」といった構造的課題を解決するため、「suitebook」を核に、企画からシステム提供、運営業務までを一気通貫で支援。顧客であるホテルオーナーや運営会社の利益率向上に貢献することをミッションとしている。

上場は新たな出発点、IP活用と地方創生を成長の柱に

上場にあたって開催された記者会見には、代表取締役CEO 舘林真一氏と取締役CFO 安養寺鉄彦氏が登壇。創業から約12年を経て上場を達成したことについて、舘林CEOは「新たな出発点であり、スタートの鐘」と位置づけ、「ここから太く長く走り、業界にインパクトを与えていきたい」と力を込めた。安養寺CFOは「社内は祝賀ムードよりも、これから何を実現するかという議論が中心」と話し、上場企業としての責任を意識した経営を進める考えを示した。

近年、事業は急拡大しており、売上高は2021年12月期の約4億円から2023年12月期には53億円超へと成長し、導入客室数も約2万1000室に達した。一方で、日本のホテル市場全体は180万室以上とされ、同社のシェアは1%台にとどまる。舘林CEOは「まだ大きな成長の余地がある」と述べ、今後の市場開拓に意欲を示した。

また、北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」内のホテル運営や、JR東日本グループとの共同プロジェクトなど、大手企業との協業事例も紹介。特に、本社を置く北広島市では、球場を核とした街づくりと連動し、観光・宿泊の領域で中心的な役割を担う。舘林 CEOは「地域に価値を還元するには雇用創出が重要」とし、本社移転の背景にも地域貢献の意図があると説明した。

今後、「IP活用」と「地方創生」を成長戦略の柱に据える。スポーツやコンテンツとホテルを掛け合わせることで新たな宿泊価値を創出し、北広島での成功モデルを全国へ展開する考えだ。舘林CEOは「ローカルなインパクトを創出し、グローバルに展開する」と力を込めた。

左:代表取締役CEO 舘林真一氏、右:取締役CFO 安養寺鉄彦氏

導入施設の拡大を、中長期的には地方の旅館にも

上場当日、トラベルボイスのインタビューに応えた舘林CEOは、同社の強みと今後の事業方針について説明した。今後の重点領域としては、大手ホテルチェーンへの導入拡大を加速する。すでに引き合いは増加しており、プロダクトのさらなる高度化を進める方針だ。

同社の中核サービス「suitebook」は、ホテル業界の基幹システム領域、いわゆるPMS(プロパティマネジメントシステム)に位置づけられる。大手ベンダーが主導してきた分野だが、舘林CEOは現場のオペレーションに適合した設計が最大の強みであると自負している。

具体的には、従来システムは導入にあたってスタッフが習熟に数カ月を要するのに対し、同社のシステムは直感的に操作でき、短期間での導入・運用開始が可能だ。人手不足が深刻化し、スポットワーカーなど宿泊施設における雇用環境が変化する中、この低い学習コストは導入の大きな決め手となっているという。

また、ホテル運営の高度化と自動化を進めることで、業界全体の生産性向上を牽引する考えだ。インバウンド需要の回復により市場拡大が見込まれる中、日本発の「スマートホスピタリティ」を確立し、海外プラットフォームと競争していく姿勢を示した。

中長期的には、今後注力していく地方創生を推進する一環として、地方の独立系ホテルや温泉旅館への展開も視野に入れる。舘林CEOは「どこからでも運営できる仕組みは、地方の人手不足解決に直結する」とし、地域課題への貢献を強調した。

最後に、インバウンド回復で成長が続く観光産業において、改めてテクノロジー活用の遅れと人手不足が課題と指摘。海外プラットフォームとの競争を見据え、日本発の「スマートホスピタリティ」確立に向け、観光産業が横断して連携していくことを呼びかけた。

上場セレモニーでは、恒例の上場記念の鐘を叩いた。代表取締役CEO 舘林真一氏

上場セレモニーの様子