旅先テレワーク施設〜ホテル・旅館

旅先テレワークでよく利用される施設では、どのような環境整備やサービスの提供が求められるでしょうか。ホテルや旅館などの宿泊施設で考えられるポイントをご紹介します。

ニーズが高い生活関連の情報や設備

連泊が多い旅先テレワークは、食事を宿泊施設でとるだけでなく、町中の飲食店に行ったり、テイクアウトやデリバリーを利用したり、スーパーや町のお惣菜屋で買ってくるなど、いろいろな形が考えられます。
また洗濯も必要になるので、近隣のコインランドリーやクリーニング店や、地域外の人でも受診しやすい医療機関など、一般の観光客よりも生活関連のサービスや施設の情報が幅広く求められます。
旅先テレワークの受け入れを考えるホテルや旅館は、こうした「生活情報」を提供できるよう、あらかじめ把握しておくことが必要と言えます。

「せっかく滞在するなら、直売所などで買った地元の食材を調理したい」と、簡単な自炊を希望する声も聞かれます。こうしたニーズに対応するため、一部の客室を簡易キッチン付きに改装したり、共同キッチンを設置する施設も出てきています。このほか、館内にセルフランドリー設備を設置するなどの取り組みも考えられます。

利用者向け宿泊プランはターゲットを明確に

旅先テレワーク利用者は多様な食事スタイルが考えられるため、宿泊施設に対して泊食分離を求める声が多いほか、「リネン交換や客室掃除は毎日でなくてもよいので、その分割安にしてほしい」という声も聞かれます。サステナビリティに対する意識の高い客層も、こうした取り組みに敏感に反応します。
ホテルや旅館がこうしたニーズに対応した旅先テレワーク宿泊プランを設定することは、受け入れをスムーズにするとともに、「うちは旅先テレワークを歓迎しています」というアピールにもなります。

宿泊プランを設定する上で、考慮すべきは利用者の客層です。一人での利用、小さな子どもを含む家族連れ、カップルや友人同士など、旅先テレワークにもいろいろなパターンが考えられます。
それぞれが求めるサービスは少しずつ異なり、例えば一人利用なら割高感を感じさせない価格設定、家族連れなら館内で子どもを遊ばせられるスポットや託児サービスの提供などが考えられます。宿泊プランを設定する場合は、ある程度ターゲットを明確にした方が、利用者に「刺さりやすい」と言えます。

通信環境の整備は必須

仕事のための滞在なので、通信環境の整備は必須と言えます。近年はオンライン会議の機会も増えており、複数の利用者が同時接続しても安定した回線状況や通信速度の速さ、高いセキュリティなどの条件が求められます。旅先テレワークやワーケーション対応のための通信設備工事に補助を行う自治体も増えています。

パブリックスペースをワークスペースに活用

「客室内に引きこもるだけでなく、気分転換にホテルや旅館のパブリックスペースで仕事をしたい」という旅先テレワーク利用者も少なくありません。広いロビーの一角や眺望の良いテラス、あまり使われていないバンケットなど、ワークスペースとして活用できる場所はいろいろ考えられます。最近は、旅先テレワークやワーケーション対応の改装に自治体から補助金が出る場合もあります。既存のパブリックスペース活用の具体例は、「サービス提供の事例集」をご参照ください。