企業版ふるさと納税とワーケーション

2020年4月に税制が改正され、税額控除の割合が大幅に拡充された企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)。企業のワーケーション促進に活用できるでしょうか? 税制上のメリットや可能性を紹介します。

税制改正で最大6割の税額控除が可能に

「企業版ふるさと納税」は正式名称を「地方創生応援税制」といい、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄附を行った場合、最大で約6割を法人関係税から税額控除できる仕組みです。以前は約3割だったのですが、2020年4月1日に行われた改正によって、税額控除の割合が大幅に拡充されました。内閣府では企業版ふるさと納税の特設サイトも作っています。

この制度の仕組みですが、地方公共団体は地方版総合戦略を策定し、それを元に地域再生計画の策定が必要です。内閣府から認定を得た地域再生計画に対して企業が寄付を行った場合に、国の法人税と企業が所属する自治体の法人住民税、法人事業税の双方から税制控除が受けられる流れになっています。

期待される活用拡大 ワーケーション促進に高い親和性

この税制改定の背景として内閣府が2019年12月に策定した「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」にはこのように書かれています。
「企業版ふるさと納税について、移住・定住や人材育成・確保、被災地の復興などの事業を促進するなどの優れた事例が増えているものの、活用団体数・寄附額ともに、拡大の余地が大きいとされた」
現状よりもさらに幅広い企業版ふるさと納税の活用法が期待されており、企業によるワーケーションの促進は、こうした国の意図に合致すると言えます。

株式会社カルティブの企業版ふるさと納税コンサルタント、小坪拓也氏は2016年からの2018年までの3年間で納税額が約4.6倍に増加しており、「企業版ふるさと納税の市場が順調に拡大している」と述べました。
また、内閣府の出典として約800社に行なったアンケートで、50%以上が「企業版ふるさと納税の活用を検討したい」と回答したデータを挙げ、「企業との連携による地方活性化のため、今後はワーケーションを軸とした企業版ふるさと納税の活用がより拡大するだろう」と述べています。

  • 参考記事 2020年11月26日 トラベルボイス 「ワーケーションで成功している企業の取り組みとは? ユニリーバの事例から見る効果と課題、地域に求めること」
    https://www.travelvoice.jp/20201126-147545