パスポートを自分のスマホに搭載「希望する」は82%、航空機への預け荷物に「自分でタグを付けたい」は68% -航空旅行の満足度調査

IATA(国際航空運送協会)がこのほどまとめた2017年度グローバル旅客調査によると、機内や空港では、自分で自由にコントロールできる範囲が広がるテクノロジーへの要望が高いことが浮き彫りになった。

同調査は世界152か国以上で旅客を対象に実施し、飛行機で移動する際の不満や要望を聞いたもの。有効回答数は1万675人。

指摘が多かった項目は、いずれも旅行に伴う諸手続きのデジタル化を求める内容。空港での手続きの自動化のほか、生体認証を通じたID認証トークンの活用によりすべての渡航手続きを統一すること、個人のデバイスにリアルタイムな情報を直接送信すること、効率的なセキュリティ対策や出入国管理などが挙がった。

例えば、回答者の82%は、「自分のスマートフォン上にデジタル・パスポートを搭載し、航空券の予約から空港での手続きまで、可能な限りすべての渡航関連手続きをこれで済ませたい」と希望していた。旅行関連の認証トークンには、生体認証システムを挙げる人が64%だった。

電子セルフサービスの活用分野で、最も要望が多く集まったのは「バゲージ」。全体の68%は自分で自分の荷物にタグを付けたいと答え、その手法として「電子タグ」が多く挙がった。さらに48%は、荷物を預ける際もセルフ・ドロップ方式がよいと回答した。

「入国審査の自動ゲートやキオスク端末を利用したことがある」と答えた人は、2016年の調査より6%増加し、全体の58%に達し、満足度も90%と上々。「搭乗時の手続きも自分で済ませたい」との声も多数を占め、72%がセルフ方式を希望。前回調査より2%増となった。

情報サービスについては、「旅行中、航空会社や空港から、各種情報を随時、アップデートしてほしい」との要望が高かった。回答者の85%は「自分の利用便の運航状況」、50%は「自分の荷物のトラッキング」を希望。また空港内で過ごす際に役立つ情報がもっと欲しいとの回答も目立つ。具体的には、51%が「セキュリティや出入国手続きでの待ち時間」、58%が「到着時の入国管理での待ち時間」を知りたいと回答。前回調査より17%増となった。

旅客が直面する様々な問題や煩雑さの解消には、63%が「リアルタイム情報の提供が役立つ」と指摘。情報伝達の手段は、「SMSメッセージング」が引き続き最も支持される一方、「スマートフォンのアプリ」が28%、「メール」が26%となり、意見が分散した。

「苦痛に感じること」についての質問では、空港でのセキュリティ検査と出入国管理の2つに意見が集中。最も不満が高かったのは、「個人的な所有物であっても容赦なく手をつける無遠慮さ」(60%)、次いで「電子デバイスを手荷物の中から出し、広げて見せなくてはいけない不便さ」(52%)、「空港によってセキュリティ手続きがバラバラであること」(47%)となった。

使用するデバイスについては、42%が自分のデバイスを持ち込んで利用できる「BYOD(Bring Your Own Device)」を希望。機内エンターテイメントも自分の端末からアクセスして楽しみたいと考えている。コネクティビティの改善は、航空会社にとっても、旅客にとってもメリットありそうだ。

IATAの空港・旅客・貨物・セキュリティ担当上級副社長、ニック・カリーン氏は「調査結果から、旅客が航空会社と空港に対し、使いやすいモバイル・サービス、セルフ方式で済ませられる選択肢の増加、セキュリティ検査のワンストップ化などを求めていることが鮮明になった。しかし、これは産業界だけでは実現できない。各国政府のサポートと、古い規制の改革が不可欠になる」と訴えた。

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