欧州の空港で起きている人手不足の大混乱、1週間で2000便欠航、旅行需要の急増に追いつけず【外電】

夏のバカンスシーズンを控えて、欧州の空港では混乱に拍車がかかっている。2年間のパンデミックの後、旅行需要は急増しているが、パンデミック中に雇用を大幅に削減した航空会社や空港は、その需要に追いつけず、旅行者は長時間の遅延、欠航、荷物の紛失などに悩まされている。AP通信のレポートをまとめた。

欧州でも最も混雑する空港のひとつであるアムステルダムのスキポール空港では、保安係員が対応できない旅客数が1日あたり数千席にものぼるとして、発着数の削減に踏み切った。エールフランス-KLMのベン・スミスCEOは、十分なスタッフを確保するためには数ヶ月かかる可能性があると語っている。

ロンドンでは、ガトウィック空港とヒースロー空港が、航空会社に対して1日の便数に上限を設定するよう求めている。すでにLCCのイージージェットは、ガトウィック空港とアムステルダム・スキポール空港で今夏の発着数を減らすことを決めた。

ダブリン空港は、大幅な遅延に対応するために、緊急措置を施す必要があるとアイルランド運輸当局に書簡を送っている。

航空データ分析会社のシリウムによると、6月の1週間だけで、欧州の主要空港では約2000便が欠航。そのうち、ヒースロー空港が28%を占め、欠航した便は376便に及んだ。スキポール空港は全体の9%。

欧州の旅行需要は、米国が入国前の検査を撤廃したことで、さらに高まったという。英国の旅行代理店Advantage Travel Groupは、その撤廃決定後、米国旅行の予約が急増したと明かす。

一方、欧州旅行を計画する米国人旅行者にとって、ユーロ安とポンド安が追い風になっている。以前よりもホテルやレストランの値段が手頃になっているからだ。

人手不足に加えて、労使対立も混乱に拍車

ヒースロー空港では6月中旬、処理できない手荷物がターミナルの床を埋め尽くした。空港は原因をシステムの技術的な問題としているが、人手不足もそれに拍車をかけた。空港は6月20日に、2つのターミナルで計10%の便を削減するように航空会社に求めた。その影響は約5000人の旅行者に及んだ。

スウェーデンでも似たような状況が見られる。ストックホルムのアーランダ空港では保安検査で非常に長い時間がかかるため、多くの乗客が搭乗時刻の5時間以上前に到着している。その列の長さは実に100メートルにも伸びた日があったという。しかし、空港当局は混雑を避けるために、フライトの3時間以上前に到着する旅行者はターミナルに入れない措置をとった。

国際航空運送協会(IATA)のウィリー・ウォルシュ事務総長は、人手不足は航空業界に限ったことではないとしながらも、「航空業界ではリモートワークが難しいため、従業員に柔軟な働き方を提供できなかった」とその原因を説明する。

スキポール空港の労働組合は、解雇された人たちは「より高い賃金で、より安定した契約で新しい仕事を見つけている。旅行需要が回復しているなかでも、彼らは空港の仕事に戻ることを望んでいない」と話す。

欧州最大のLCCライアンエアーのマイケル・オライリーCEOは、遅延と欠航は「夏の間ずっと続くだろう」と警告し、「旅行者は不満が募る体験を覚悟する必要がある」と話している。

そのようななか、労使対立も激しくなっている。ベルギーでは、ブリュッセル航空が6月23日から3日間のストライキに入り、約315便が欠航。約4万人に影響が出ると見られている。

ブリティッシュ・エアウェイズの空港カウンタースタッフとヒースロー空港の地上要員は6月23日にストライキを断行することを決議。日程は決まっていないが、組合によると「今年の夏に実施される見込み」だという。

パリのシャルル・ド・ゴール空港でも2日間のストライキが実行された。1日は警備員によるもので、もう1日は賃上げを要求する空港職員によるもの。これにより、 2日目は4分の1の便が欠航した。

このよう混乱の中でも、パンデミックで旅行を我慢していた人たちが旅行を中止する気配はない。チェコの旅行代理店CKFischerは、今年これまでにパンデミック前よりも多いホリデーパッケージを販売したという。同社の広報によると、「パンデミック後、旅行を待ち切れない人たちは多い。空港問題が、その気持ちを変えることはないだろう」と語っている。

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