JALグループのZIPAIR Tokyo(ジップエア)は、2023年4月から成田/ホノルル線のフライトでCO2排出量実質ゼロの取り組みを始める。同社によると、年間を通じて単一路線でカーボンニュートラルをおこなうのは世界初の試み。排出権取引制度と持続可能な航空燃料(SAF)の活用で、年間4万トンの燃料からのCO2排出量実質ゼロを目指す。
同社の西田真吾社長は会見で「CO2排出は、航空機を運航する事業者として避けることができない課題」との認識を示し、「初めてのチャレンジになるため、何が起きるのか確認をしながら進めていく。2024年度以降も継続し、2025年度には全路線でこの取り組みを広げていく意思を持っている」と説明した。
また、ホノルル線でカーボンニュートラルを先行する背景として、ハワイ州が進めているレスポンシブルツーリズム「マラマハワイ」への共感があることも明らかにした。
具体的には、排出権取引については、国内では住友林業との協力で「J-クレジット制度」で認証を受けたクレジットを購入。海外では双日を通じて、米国森林プロジェクト創出で国際民間航空機関(ICAO)のCORSIA認証を受けたクレジットを購入する。
一方、SAFについては、JALグループとしてネステ社から調達し、年間燃料搭載量の約1%を置き換える。現状、SAFは石油から産出されるジェット燃料よりも高価になるが、西田社長は「価格転嫁は考えていない。まずは、自社努力で何ができるか確かめていく」と話した。
2023年度、サンフランシスコとマニラに新規就航
このほか、西田社長は2023年度の路線計画についても説明。2023年夏に向けて新たに3機のB787-8型を導入し、計7機体制にする。そのうえで、第1四半期では成田/サンフランシスコ線、第2四半期で成田/マニラ線に新規就航することを明らかにした。運航スケジュールと運賃については、後日発表する。
西田社長は「両路線とも競争が激しいが、二地点間だけでなくアジアからの北米間の乗り継ぎ需要も高い」と説明し、新規就航に自信を示した。サンフランシスコについては、現在就航しているサンノゼ線との回遊や若者層や子供連れのファミリー層、マニラ線については北米への乗り継ぎ需要に加えて、若者の語学留学需要も想定する。
また、インバウンド需要の高まりを受けて、当初は外国人7割、日本人3割を見込むが、「今後日本からのアウトバウンドの需要も回復すると思う。最終的には半々になるのではないか」との見通しを示した。