近畿日本ツーリスト、過大請求問題で高浦社長が辞任、疑義は最大50自治体、9億円に修正、調査委は「利益追求に対する強い志向」が要因と指摘

KNT-CTホールディングスは2023年8月9日、記者会見を開催し、子会社の近畿日本ツーリスト(KNT)が新型コロナワクチン接種業務をめぐり自治体に過大請求していた事案で、近畿日本ツーリスト代表取締役社長の高浦雅彦氏が、8月31日付で辞任する処分などを発表した。高浦氏の後任には、個人旅行販売を担う近畿日本ツーリストブループラネット代表取締役社長の瓜生修一氏が9月1日付で就く。

会見では、KNT-CTホールディングス代表取締役社長の米田昭正氏が「お客さまはもとより、関係者の信頼を裏切り、社員逮捕という遺憾な事態を招いたことは痛恨の極み。信頼が地に落ちた」と謝罪。「二度と同じ過ちを繰り返さぬよう、再発防止の徹底を図るとともに、人心を一新し、コンプライアンスとガバナンスの両面にわたる改革を断行し、全社一丸となって企業風土の改革に取り組む」などと語った。

同時に、今回の事案に関する調査委員会の報告も公表した。5月30日時点では過大請求およびその疑義がある事案は80自治体、最大14億7000万円に上ると発表していたが、その後の調査により最大50自治体、9億円と修正。そのうえで、原因については、利益追求に対する強い志向、管理態勢の脆弱さ、社内組織の各階層間における意思疎通の欠如があったことなどを挙げた。

また、社員の逮捕に伴う懲戒解職の4名を含む37名を処分。高浦氏が辞任するほか、取締役、執行役員6名が報酬月額20%を3カ月自主返納。KNT-CTホールディングスの米田氏も報酬月額の20%を3カ月自主返納する。

再発防止策については、すでに公表しているコンプライアンス委員会、コンプライアンス改革本部、法令倫理管理センターの設置に加え、ITシステムを活用した契約内容の確認などの仕組みづくりに取り組む。米田氏は「経営層を含めたタウンホールミーティング、ワークショップの実施により、風通しのよい職場環境の整備を進める」と話した。

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